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【特集】4月1日から「相続登記」義務化 その背景と手続きで困らないために

2024年4月10日 19:11
【特集】4月1日から「相続登記」義務化 その背景と手続きで困らないために

特集は相続した土地や建物の名義を変更する「相続登記」についてです。4月1日からこの「相続登記」が義務化されましたが、その狙いと手続きで困らないためのポイントを紹介します。

講師「みなさんにもしものことがあって、お子さんたちが相続した場合には、必ず相続登記してくださいねっていう風に法律が変わりました」

ことし2月、岩手県盛岡市内で開かれた相続について学ぶセミナーです。満席となった会場では、盛岡地方法務局の職員が相続のルールや相続登記を義務化する理由などについて説明しました。

参加者
「義理の母が亡くなってから10数年経って、その時に(相続した不動産の)名義変更していなかったので」「どのように進めたらいいのかなって参加した」「非常に参考になったと思います」

4月1日から義務化された「相続登記」。土地や建物を相続する際に自分が所有者であることを示す「登記簿」の名義を変更するための手続きです。

 相続する人は、土地・建物を相続で取得したことを知った日から3年以内に手続きを行わなければいけません。正当な理由がなく手続きしなかった場合は10万円以下の過料、行政上の罰金が科される可能性があります。なぜ、義務化が必要なのか?手続きを担当する法務局の職員に聞きました。

長谷川浩 統括登記官
「相続登記の義務化の背景にはですね、所有者不明土地問題というのがございます」「現状、登記簿を見ても土地の所有者が正確に反映されていないという登記簿がたくさんありましてこれらを所有者不明土地と呼んでいます」

 これまで相続登記は「任意」だったこともあり、この「所有者不明土地」が全国各地で増えています。国の調査によると、その面積は、九州の面積よりも広く、さらに、放置することで様々な問題を引き起こしています。

 一つが公共工事への影響です。例えば、道路の幅を広げる工事。自治体は、広げたい部分の土地を取得する必要がありますが、一部の土地の所有者が見つからないと、こんな形の道路になってしまうおそれもあります。

 実際、盛岡市では、土地の相続人が海外に移住していたり相続の手続きがされずに相続人が100人以上になっていたりしたりして、土地の取得までに長い時間がかかった事例もありました。さらに。

長谷川浩 統括登記官
「震災からの復興事業を進めていく中で、所有者不明土地というのが一つの障害になったという風に 言われております」

 東日本大震災の被災地、宮古市では2015年、防潮堤と堤防の復旧工事で地権者の大部分が亡くなった上、相続人とも連絡が取れずに土地の取得が滞りました。さらに、陸前高田市で問題となったのは住宅の高台移転や市街地を再生するための「土地区画整理事業」です。全国に散らばる相続人との交渉に時間と労力を費やし、これが職員の大きな負担になりました。

当時の市の職員
「地権者さん一人一人と交渉しているので、交渉件数膨大であることと、交渉もすんなり進むばかりではないので、粘り強く説明してご理解いただくというのが大変な作業です」

 相続で慌てないために私たちにできることもあります。一つは、身の回りにどのような不動産があるか家族で話し合っておくことです。名義の確認もしておきましょう。そして、もう一つが「遺言書の作成」です。「遺言書」は、自分が亡くなった後にその効力を発生させる目的で、あらかじめ意思表示を書面に書き残したものです。遺産の内容や分け方などを明らかにしておくことで、相続した人がすみやかに手続きできます。自分で書いた遺言書であれば、法務局で原本を死後50年、原本の画像データを150年、保管してくれるので安心です。

時間が経てば経つほど、相続の当事者が増えるため、法務局では、早めの手続きを呼び掛けています。

長谷川さん
「法務局の方でもですね、書類の作成等について」「ご案内をさせていただいておりますし、県内の司法書士とか弁護士の専門の方に頼むというのも一つの方法ですので、そういった方法もぜひ検討いただければ」

相続登記について詳しく知りたい方は、盛岡地方法務局の登記部門019-624-9851までお願いします。