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火の粉が飛んだ方向でその年の作柄占う 岩手県二戸市の伝統行事「サイトギ」に密着

2024年2月22日 20:40
火の粉が飛んだ方向でその年の作柄占う 岩手県二戸市の伝統行事「サイトギ」に密着

 特集です。火を燃やして火の粉が飛んだ方角でその年の作柄を占う岩手県二戸市の伝統行事「サイトギ」に密着しました。

 二戸市似鳥地区で400年以上続くと言われる伝統行事「サイトギ」をご存じでしょうか?今回は、その様子をウォッチします。と、その前に、二戸駅周辺で「サイトギ」について聞いてみると・・・

 ディレクター
「きょうサイトギってお祭りありますよね?」
 男性
「すみません、自分たちわからないんです」
 女性
「わからないです。あるんですねそういうのが」

 サイトギを知らない人も意外と多くいました。それでも取材を続けていると・・・

 女性
「はいはい、行ったことあります。若者が裸になって農業の吉凶を占う素晴らしい儀式があります」

 サイトギが行われる似鳥(にたどり)八幡神社に向かうと、着々と準備が進められていました。祭を取り仕切る氏子総代の一人、大向さんにサイトギについて聞いてみました。

 氏子総代 大向勝則さん(67)
「サイトギはですね、この積んでいる木もサイトギということもあるし、オコモリの作ってある物の崩れ方とか状態とか火を燃やして火の粉が飛んだ方角で作柄を占うという行事を全部含めてサイトギの行事と、祭事ということで私たちはやっていました」

 2010年に国の選択無形民俗文化財に指定された「サイトギ」。しかし、長い歴史の中で一度途絶えた時もあったといいます。

 氏子総代 大向勝則さん(67)
「裸参りも途絶えてしまって、だからずっと戦前から戦後とだんだん廃れてきて行事は小さくはなっているんだけれども復活させようという話が合ってやり始めました」

 徐々に近隣の住民も集まり始め、神社では、サイトギの無事を祈願してのご祈祷、その後神楽の奉納が行われました。

 今年は県内外から18人が集まりました。その中には今年初めて参加する人も。その一人、瀧澤惇

 瀧澤惇さん(32)
「去年、見学というか観光として見させていただいて、その時にすごい迫力があったので、ぜひ今年出たいと思って参加させていただきました。ちょっと天候が悪い中やり切れるか不安な所はあるんですけど、精一杯楽しみながら参加したいと思っています」

 こちらも初参加の吉田怜央さんです。

 吉田怜央さん(23)
「去年からこっちで働きだして、この祭りやってみたいなってことで、寒さにも強かったので、あとちょうど年男だったのでちょうどいいかな」

 やぐらに火が入り、このころには男衆の雄姿を一目見ようと多くの観客も集まっていました。

 雨の降りしきる中、水垢離(みずごり)で心身を清めた後、神社を含む境内に20あるお堂を一つ一つ巡って裸参りを行い、いよいよサイトギが始まります。

 威勢のいい掛け声とともに長さ4メートルほどの棒でサイトギを揺さぶると、火の粉が夜空に立ち上ります。これを3回行い、舞い上がる火の粉が石段側に流れれば豊作、神社側に流れれば凶作となります。

最後に宮司がご託宣を出してサイトギは終わりとなります。

 宮司
「平年作なり、平年作でございます」

 今年の作柄は平年作となりました。初めて参加した瀧澤さんは・・・

 瀧澤惇さん(32)
「実際参加すると迫力があるし、顔も赤くなって肩とかもヒリヒリしていい経験をさせて頂けたなと思いました。本当に伝統的な文化というところではぜひ今後とも絶えないように、若い人たちが積極的に活発化して参加して行ければと思っています」

 30年以上参加し続けている田口さんは、今年のサイトギをどのように感じたのでしょうか。

 田口雅寛さん(47)
「こんな天気でやったことがない。どうなるか不安でしょうがなかったんですけど、全員最後までできたということが良い事でした。先祖代々受け継いできたよということを今後も残していこうとなれば、自分たちの代で途絶えさせたくないなという思いはあります」

 逆境に負けず、細い糸を紡ぐように繋いできた「サイトギ」は、これからも変わることなく受け継がれてほしいものです。