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【ことしにかける】岩手初のプロ棋士・小山怜央四段 順位戦への抱負

2025年1月8日 18:43
【ことしにかける】岩手初のプロ棋士・小山怜央四段 順位戦への抱負

 シリーズ「ことしにかける」です。釜石市出身で岩手県初のプロ棋士となった小山怜央4段が去年、フリークラスからC級2組に昇級しました。今年から順位戦に挑戦する抱負などを聞きました。

 釜石市出身のプロ棋士、小山怜央さん。2023年プロ棋士を目指し、棋士編入試験に挑戦して見事合格。プロ棋士の養成機関「奨励会」を経ずにプロ棋士となったのは戦後初でした。

 小山さんがプロ棋士となり、まず所属したのが「フリークラス」。フリークラスへの編入後、10年以内、または満60歳の誕生日を迎えた年度が終了するまでにC級2組へ昇級できなければ引退となります。
プロ2年目の小山さんは2024年7月、直近30局の勝率が6割5分以上と昇級規定を満たし、見事、C級2組へ昇級しました。

 昇級を決めた対局の相手は、東日本大震災の復興支援で2011年に釜石市を訪れ、小山さんとも指導対局した谷川浩司十七世名人。恩返しとなる勝利でした。この対局には動画配信サイトやSNSで動向を見守っていた目の肥えた将棋ファンからも小山さんを称賛するコメントが相次ぎました。

 2024年12月、昇級を決めた小山さんは、ふるさと釜石で行われた将棋のイベントに参加しました。小山さんとともにイベントに参加したのは、永世竜王、永世棋王の資格を持つ渡辺明九段です。

 会場の釜石市民ホールTETTOには、市内外の将棋ファン200人が詰めかけ、あこがれの棋士との交流を楽しみました。最初に行われたトークショーでは、小山さんがこれまでに印象に残っている対局について聞かれ、次のように話しました。

小山さん
「棋士編入試験の最終局とかは今でもよく覚えているのと、奨励会を中学校の時に受けたんですけど、最後に負けた対局とかすごい覚えていてその時の感情とか染みつきますね」

 2度目の釜石市への訪問となる渡辺九段は、小山さんのことを知っていましたが、このイベントへの参加が決まるまで話す機会はなかったということで、釜石へ訪れる前に小山さんの著書を読み込んできたそうです。

渡辺明九段
「若いのにいろんな経験をされている方なんだなとおもいました。アマチュアから奨励会を経ずにプロになるってことはものすごい大変なことで、大人になってから将棋強くなることはすごく大変なんですね、そういったことを実現された方というのは相当努力されたんだろうし」

 イベントでは「多面指し」も行われ、こどもたち約20人が小山さんと渡辺九段、あこがれの棋士との対局を楽しみました。昇級を決めてから初の釜石でのイベント、小山さんも渡辺九段もリラックスした雰囲気でイベントを楽しんでいました。

渡辺明九段
「棋士仲間からの話しを聞いてすごいまじめな方と聞いてたんで、日ごろから勉強しているなという感じの将棋を指すなとという印象を持っています。今回のイベントをきっかけに小山さんのこともだいぶ知れましたし、実際話したりして今までは交流はなかったんですけど、だいぶ知ることもできました」

 そして小山さんは2024年の対局を次のように振り返りました。

小山四段
「谷川先生と指せたということも小さいころからの憧れの棋士だったので、うれしかったです。C級2組へ昇級と大きな成果を上げられてうれしいんですけど、その後、結構負けて勝率5割くらいになったので全体としては不満なところはありました。

 そして年が明け、2025年。年末から釜石市の実家で過ごした小山さん。震災前、実家があった鵜住居町の神社に初詣に訪れました。

(Q、どんなことを願ってお参りしましたか?)
「あまり深いことは考えず今年も1年健康でいられたならと思っています」

 東京へ戻る前日、小山さんは自身も通っていた地元の将棋教室へ顔を出し、市民とともに将棋を楽しみながら次なる戦いに向け、英気を養っていました。

小山さん
「帰ってきてゆっくりできたのは久しぶりだったので、リラックスして休んでます。今年から順位戦に参加するということで順位戦に向けて準備してより良い結果を出せたらと思うのと、切れ味のするどい将棋を見せたいとは思っているんですけど、より内容がよい将棋が出来たらと思います」

プロ3年目のことし、切れ味鋭い将棋と勝率6割を誓う小山さん。地元の声援を受け、順位戦に挑みます。

最終更新日:2025年1月8日 18:43