【1年抱え続けた思い】専大北上サッカー部主将「卒業した先輩に恩返ししたい」
シリーズ「全国に挑む」は、全国高校サッカー選手権の専大北上高校です。
キャプテンの成田大悟選手がこの一年抱え続けた思いを取材しました。
森田雄人 実況
「決めたー!最後はキャプテンの成田が決めました」
創部60周年を迎えた専大北上サッカー部。2019年、選手権初出場を決めると、そこから県内屈指の強豪校に成長。令和に入ってから選手権は今回で全国大会3度目と公立高校が席巻してきた岩手の高校サッカー界に私立・専大北上が風穴を開けました。
今年は校舎の建て替えが終了。サッカー部も全面人工芝のグラウンドが使えるようになり、環境も大きく変化しました。
小原昭弘監督
「やはり良い環境でサッカーできるというのは選手も喜んでいますし、練習に移動がないというのが一番選手にとってもストレスが減ったと思う」
今年の専大北上の持ち味は「堅い守備」。県大会では遠野や盛岡商業など強豪校との対戦が続きましたが、4試合でわずか1失点と守備の安定感が光りました。
守りの要はセンターバックでキャプテンの成田大悟選手です。実はこの1年、ある思いを抱えながらプレーをしてきました。
去年の選手権、遠野高校との決勝。両者無得点で迎えた後半終了間際でした。痛恨の失点。全国への道が閉ざされました。この時、ゴールを決めた選手のマークについていたのが当時2年生の成田選手でした。
成田大悟主将
「うしろに(相手選手が)いるのは分かっていたんですけど、ボールが来た瞬間に『自分で返せる』と思ってジャンプした瞬間に前に入られて先に触られた。試合に出られていない3年生もいる中であんなプレーをしてしまって本当に申し訳ないと思っています」
さらに新チームでキャプテンに就任してからは新人戦・県高校総体・東北選手権と全て決勝で遠野に敗れました。勝利へのこだわりが足りないチームに危機感を感じた成田主将。ミーティングでのある一言がチームを動かしました。
伊藤晟来 副主将
「(リーグ戦で敗れた時)シュートが全然打てなくて、(キャプテンの)大悟が試合終わった後でみんなを集めて『勝つ気あるのか』と言われた時は自分も心に刺さりましたし、チームを勝たせられなかったというキャプテンとしての責任が強かったように見えました」
この言葉をきっかけにチームには徐々に変化が。選手権を目前にしたリーグ戦で全国レベルの仙台育英などを相手に2連勝。ようやくチームにまとまりが生まれました。
迎えた選手権決勝。
相手は宿敵・遠野高校。試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦に。互いに3人ずつ成功し、迎えた4人目。途中出場のゴールキーパー高橋蒼選手の見事なセーブで流れを呼び込むと、決めれば優勝という場面で登場したのは、、、
森田雄人 実況
「専大北上はキャプテンの成田が出てきました!」
去年の雪辱へ。みんなの期待を背負って、、、
森田雄人 実況
「決めた―!最後はキャプテンの成田が勝負を決めました。専大北上3年ぶり3度目の優勝!」
成田大悟主将(声インサート)
「去年は自分の所で失点してしまって悔しい思いをしたので本当に申し訳ないという気持ちがあって、1年間卒業した3年生に恩返しではないですが、優勝を届けられたら良いと思ってやってきたので良かったです」
見事1年越しのリベンジを果たし3大会ぶり3度目の選手権出場となる専大北上は選手全員が高校で初めての全国大会となります。目標とする日本一へ向けてまずは初戦突破を目指します。
専大北上の初戦は今月29日、1回戦で高知代表の高知高校と対戦します。試合の模様は、午後2時5分からテレビ岩手で放送されます。勝てば初出場したとき以来、5年ぶり2回目の全国での勝利となります。