山形県内の地銀3行 有価証券運用で収益確保に苦戦 専門家「今後は経営支援のコンサルティング業務が重要」
山形県内の地方銀行3行の中間決算が出そろいました。金融市場の厳しさを背景に、各行は今期、収益の確保に苦戦しています。
金融市場の展望や地方銀行の今後について専門家に聞きました。
山形銀行、荘内銀行、それにきらやか銀行の県内地銀3行が発表した中間決算。
山形銀行と荘内銀行は「減収減益」、きらやか銀行は「減収増益」という結果になりました。
山形銀行・佐藤英司頭取
「本業の利益は戻ってはきているが有価証券の残高を落としてきたということもあり有価証券の収益が落ちてきている」
荘内銀行・松田正彦頭取
「前期に増加していた有価証券利息配当金これが減少したことなどにより前年同期比では経常収益が今期27億3500万円減収の103億2000万円」
きらやか銀行・川越浩司頭取
「減収の要因は有価証券の利配金の一部を現在評価損の解消に向けているので、 受取金の利配金のところが3億ほど減少したことが主因」
アメリカの金利上昇などを背景に、金融市場は厳しさを増し、株式などを含む有価証券の運用で、各行は利益確保に苦戦しました。
地域金融に詳しい東北学院大学の伊鹿倉正司教授は、今回の中間決算で全国のおよそ6割の地銀が減収減益となったと話しています。
東北学院大学・伊鹿倉正司教授
「有価証券に関してはどこの銀行も大体苦戦している一方で、山形銀行も荘内銀行もきらやか銀行も本業の貸し出し収益はある程度堅調」
その上で、取引先がある都市の経済規模が今回の決算に影響していると分析しています。
東北学院大学・伊鹿倉正司教授
「資産規模が大きいということは貸し出し債権も大きいということだから貸し出し収益が堅調に推移している。これが増収増益かそうじゃないか1つ左右するところ」
有価証券の運用による利益の確保が難しいいま、伊鹿倉教授は「本業である貸し出し業務で利益を確保できるかどうかが重要」と指摘しています。
一方、2期ぶりの黒字となったきらやか銀行。取引先の倒産などで債権の回収が不可能となるケースに備え、あらかじめ損失を計上する「貸倒引当金」が今期、大幅に減少したことなどで、V字回復を見せました。
今後の展望については・・・
東北学院大学・伊鹿倉正司教授
「この黒字が今年度の決算に続くのかというと読めなくて金利の動向も大きく左右すると思う。あとは取引先の業況、今後さらに物価高による倒産が増えることになると与信費用が増加してそれが収益を圧迫する悪循環になっていく。そういったところは今後も可能性としてある。今までの悪い流れを断ち切れたかというとそうではなくてまだまだ悪い流れは続いている」
また、各行は、収益面以外にも、行員の確保を今後の課題に挙げています。
単純な人手不足のほかに、伊鹿倉教授は「企業の課題解決のため支援を行い、手数料を得る『コンサルティング業務』が求められている」とした上で、「専門的な知識を持つ『スペシャリスト』の養成が必要」と指摘しています。
東北学院大学・伊鹿倉正司教授
「コンサルティングを専門とする(会社で)コンサルティングファームがある。こういったところとの連携。人材確保できないにしてもそういったところとの連携もこれからより重要になっていく」
人口減少などに伴う、市場の縮小でますます厳しさを増す、地方銀行。伊鹿倉教授は県外地銀との業務提携が増え、経営の安定化を図るケースが増えるだろうと予測しています。