飛び散る火の粉 「恐怖を感じる現場」 大船渡に応援に入った山形市消防隊員が撮影した動画
岩手県大船渡市で大規模な山林火災が発生してから1週間が経過しました。連日消火活動が行われていますが、鎮火には至っていません。こうした中、県内からも現地に向かい消火活動を支援する動きが広がっています。
県によりますと、これまでに県内の消防から延べ1000人以上が現地に向かい、防災ヘリコプターやポンプ車などによる消火活動にあたっています。現場で活動した消防隊員に話を聞きました。
岩手県大船渡市で2月26日に発生した山林火災は5日で1週間が経過しました。現場では5日、雨や雪が断続的に降りました。その影響で6日朝は延焼の拡大が見られなかったものの、焼失面積はおよそ2900ヘクタール、市の面積のおよそ9%にのぼっています。これまでに4200人あまりの住民が避難生活を送っています。
現地の避難者「避難してくるときには我が家にも火の手が迫っていたので。もう燃えて無くなっちゃっているだろうなと思って」
現場では全国各地の消防が消火活動の支援にあたっていて、山形県からも「緊急消防援助隊」として多くの隊員が派遣されています。
県の消防防災ヘリコプター「もがみ」は火災の発生翌日から3月3日まで現場での消火活動に加わりました。現在は点検のため山形に戻っていて、点検が終わり次第、再び大船渡で活動にあたる予定だということです。
県消防防災航空隊佐藤奨隊長「去年の南陽市の林野火災と同じような印象を持ったが、今回については非常に大規模に広がっていると第一印象で受けた」
今回の消火活動の一つの障害となっているのが三陸特有の地形だといいます。
県消防防災航空隊佐藤奨隊長「内陸から吹く風と海風が非常に強い地形。三陸特有の山肌や強風が火種を飛ばして、山肌に沿ってどんどん延焼が拡大していった。強風で出火している所に水をかけるのが困難だった」
山形県からは5日時点で県内12のすべての消防署から隊員あわせて100人あまりとポンプ車など30台以上が現地に派遣されています。このうち、山形市消防本部からはいま、17人が派遣されています。
この映像は、隊員が発生日の26日夜に撮影したものです。火の手が住宅のすぐ近くまで迫っている様子が確認できます。発生初日から現地入りし、消火活動にあたった隊員に聞きました。
山形市消防本部警防課・秋葉卓さん「夜間でこれだけ火の粉が舞っている。バチバチという音も含めて、勢いのある林野火災は私も正直初めて。恐怖を感じる現場だった」
(今回の山火事の特徴、長引いている原因は?)山形市消防本部東消防署横山健一副署長「1つは雨が降らずに空気が乾燥する時期が長かった。あと、地形によって火を消しづらい所があった。あとは人が入りにくい、人海戦術で消火しきれない所が多かった」
冬の季節は樹木の水分量が少ないため、燃えやすい時期だといいます。さらに、現場にはスギなど燃えやすい樹木が多くあることが燃え広がった一つの要因と指摘します。
山形市消防本部警防課・秋葉卓さん「スギ自体が油分を多く含んでいる木材なので、燃えやすい。バチバチと音をたてながら、スギや竹が燃えていく。山の斜面の上に向かって」
今回のような山火事は県内でも起こりうるとして注意を呼びかけています。
山形市消防本部東消防署横山健一副署長「最初から拡大するわけではなく、小さな火種から火が大きくなったと考えられる。一般的に小さな火種というのは、タバコの火やたき火の不始末など。県内でも注意していただきたい」
一方、大船渡市と友好都市の協定を結ぶ最上町は今月2日、職員を派遣し、避難者が身を寄せる三陸公民館で350食分の芋煮の炊き出しを実施しました。最上町は今後も支援を続けていくとしています。