背景は参院選への対応か 山形県知事選 自民党県連が擁立を断念し現職を初めて支援へ
1月に行われる山形県知事選挙を巡り自民党県連は、党独自の候補を擁立せず、現職の吉村知事を支援することを決めました。自民党県連が知事選で吉村知事を支援するのは初めてです。異例の決定の背景には来年の参議院選挙があるとみられています。
自民党県連は15日、県内の各支部長などを集めた会議を開き、1月の知事選への対応を協議しました。その結果、自民党県連として独自候補の擁立を断念し、5回目の当選を目指して出馬する意向を示している吉村知事を支援することを決めました。
自民党県連遠藤利明会長「今月吉村知事が自民党県連に来て県政を推進するためには自民党の協力がなければ思うように進まないので協力してもらいたいということでしたのできょうそのことを皆さんにお諮りし、了解いただいた」
自民党県連は前回2021年の知事選で、現職の吉村知事に対立候補を擁立しましたが、大差で敗れました。その後、任期満了に伴う1月の知事選に向けて独自候補の擁立を模索してきましたが、具体化には至りませんでした。
自民党県連・遠藤利明会長「去年の暮れの政治と金の問題もあって、なかなか自民党と一体となって知事として活動したいという人が、なかなか探せなかった」
こうした中、吉村知事は、12月6日の出馬表明の翌日、自民党県連を訪れ、支援を要請していました。
自民党県連の遠藤利明会長は、吉村知事の支援を決めた理由について「県の発展には国政と県政の協力が必要」とした上で、「一部の市町村長からも吉村知事の支援を要望された」などと述べています。自民党県連が知事選で吉村知事を支援するのは初めてで、支援の具体的な方法は今後、検討していくとしています。
一方、15日の自民党県連の会議では「独自候補を出すべきだ」、「支援などの行動を取らなくてもよいのではないか」など、県連幹部の方針に異論もあったといいます。
記者リポート「山形市の自民党県連です。時折、語気を強めて話す人の声が聞こえます」
吉村知事を支援するという異例の決定となった背景には、来年夏の参議院議員選挙をめぐって自民候補にとって不利な動きをしないよう吉村知事をけん制するねらいがあるとの見方が広がっています。
自民党の県議会議員の1人は「恥ずかしい思いだが、来年の参院選の自民候補当選は悲願。大人の決着としては理解できる」と話しています。
自民党県連・遠藤利明会長「来年の参議院選挙だけではなく、その前の県議会議員の補欠選挙から始まっていろいろな選挙がある。吉村知事はそういったことを踏まえて支援の要請をしたと思うので、当然、これから各種選挙あるいはいろんな施策についても吉村知事と連携をして進んでいけるものだと思っている」
吉村知事は16日、自民党県連が知事選で支援を決めたことについて「災害対応などの難局を一緒になって乗り越えなければならないと思っていただけた」と述べました。来年夏の参院選など今後の選挙への対応については。
吉村知事「これから知事選挙が始まるので、その後のことまではとても申し上げられる状況にない。選挙のたびにどうするかは皆さんの考えも聞きながら考えていくことになると思う」
一方、自民党県連の幹部は、県議会の自民党会派と吉村知事との今後の関係性について、次のように述べています。
自民党県連・森谷仙一郎幹事長「今まで通り県から議案で出されたものに対しては我々も是々非々でやってきた経過がある。これからもそれについては同じ。議案を出す前の協議などは今後はあると思う」
知事選には今のところ、吉村知事のほかに出馬の意思を示している人はなく、無投票となる公算が大きくなっています。県知事選挙は1月9日に告示されます。