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滑らかに話せない「吃音(きつおん)症」について知ってもらうイベント 山形市で20日に開催へ

2024年3月15日 18:21
滑らかに話せない「吃音(きつおん)症」について知ってもらうイベント 山形市で20日に開催へ

言いたいことが頭に浮かんでいても思うように滑らかに話せない「吃音(きつおん)症」。この吃音がある人たちが交流する山形県内では初めてのイベントが3月20日、山形市で開催されます。吃音に悩む人たち同士励まし、自分らしく生きて欲しい。イベントの準備を進めるメンバーを取材しました。

3月12日。川西町の病院です。

「ベルトを締めなおすとよりしっかり体に合うこんな感じで大丈夫?」

山形市の医療器具メーカーに勤務する長岡儀英さん。患者とやりとりをしながら、治療用の矯正器具の調整を行っています。

患者「よかった聞いて」
長岡さん「いいタイミングだったね見られてよかったです」

長岡さんは「吃音症」です。吃音症は、言いたいことが頭に浮かんでいても言葉に詰まるなど滑らかに話すことができない症状です。

長岡儀英さん「小学校の時に吃音を自覚した。人前で自己紹介する時に自分の名前がスムーズに出てこなくて。相手が見えない電話になると途端に吃音の症状が出て相手に不信に思われてしまう」

この日、山形市内の会議室に集まったのは吃音症の人たちです。去年9月、長岡さんの呼びかけで県内で初となる吃音症の人たちの団体「山形言友会」が発足しました。現在会員数は17人。東北では宮城県に続いて2番目の設立です。定期的に交流会を開き、日常生活の悩みや症状にどう対処しているかなどを会員同士共有しています。会員の1人、宍戸さんは仙台市から通っています。

宍戸裕哉さん「自分の経験とかを話したり悩んだりする人もいてアドバイスを言ったり」

高橋宜弘さんは、会社に勤める傍ら、吃音の症状改善のため、10年ほど前に落語を始めました。現在は、アマチュア落語家としても活動しています。

落語「珍念や、珍念はおらぬか?へ~い、和尚お呼びでございますか?お前てんしきをどこへやった?」

高橋宜弘さん「落語は言葉だけでお客様に想像させる芸なので落語そのものでは吃音は出てはいけない。自分で吃音が出ないしゃべり方を無意識でやらなければいけないのでトレーニングとして落語はよかった」

一見、滑らかに話す高橋さんですが、吃音の悩みを抱えています。

高橋さん「あ行がなかなか出てこないことが多いのでありがとうございますとかお疲れ様です、お先に失礼しますという言葉がスムーズに出てこない。自分の中で沈黙してしまう状態が多くある」

山形言友会は今、吃音について広く知ってもらうためのイベント開こうと準備を進めています。
高橋さんの落語をはじめ、吃音症の人たちが漫談や大道芸などを披露するお祭りです。吃音の症状を笑いに変えるお笑い芸人のパフォーマンスも予定しています。長岡さんは、今回のイベントが吃音がある人同士の交流の場や、症状を知ってもらう機会になってほしいと話します。

長岡儀英さん「本人だけが悩んで孤立しているケースは多くあるんじゃないかと思っていて県内の人に吃音を啓発することによって1人で悩んでいるひとに1人じゃないんだと伝えられたら」

吃音がある人もない人もともに尊重し合い個性を認め合える社会へ。このイベントは、3月20日午後1時、山形市の山形テルサで開催されます。