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備蓄米放出発表に山形県内の消費者や生産者は「対応が遅い」「効果は不透明」「資材高騰考慮して」

2025年2月14日 18:24
備蓄米放出発表に山形県内の消費者や生産者は「対応が遅い」「効果は不透明」「資材高騰考慮して」

コメの価格が高止まりする中、農林水産省は14日、3月半ばには備蓄米を放出すると発表しました。山形県内の消費者や生産者の受け止めを取材しました。

江藤農林水産相「販売数量は21万トンとします。これは流通が滞っている、スタックしている状況を何としてでも改善したいという強い決意の数字だと受け止めていただきたい」

放出する備蓄米は去年生産されたコメも加えた21万トンで、まず3月初めに15万トンについて入札を行い、3月半ばには業者に引き渡す予定です。これにより、3月末から4月にかけて放出された備蓄米が店頭に並ぶ見通しです。

備蓄米の放出決定について消費者からは、価格が下がることへの期待感が聞かれました。

20代「消費者からすればありがたいこと。どんどんやっていってほしい。コメは一番食べるので、価格も落ち着いてくれればいいと消費者としては思う」
80代「スーパーからコメを買っている。高いね」
山川アナ「コメ不足と言われてから時間が経っての備蓄米放出決定になったが、このタイミングはどうですか?」
80代「もっともっと早くしないと、何でも物価が高いから皆さん困っている。私たちは年金生活者だから特に」
50代「放出してもらった方がいいが、それをまた備蓄する時にまた価格が上がらないか不安はあるが、世の中が困っているなら放出してもらった方がいい」

一方、コメの生産者はどのように受け止めたのでしょうか。南陽市の農業生産法人「黒沢ファーム」では、全国的なコメ不足の影響で、秋にできた新米を前倒しで出荷せざるを得なくなり、現在の在庫は例年の半分ほどしかないといいます。黒沢信彦社長は、政府の備蓄米放出をもっと早い時期に行うべきだったと指摘しています。

黒沢ファーム・黒沢信彦社長「コメ5キロで4000円が当たり前みたいになっているのは初めてだと思うが、異常事態が起きているのに国の対応が遅かったと感じる」

黒沢社長は、いま備蓄米が放出されてもコメの値段は大きくは変わらないだろうと述べています。

黒沢ファーム・黒沢信彦社長「自分たちが目に付くスーパーなどのコメの値段はあまり変わらないと思う。業者が高い値段で去年秋にコメを集荷しているので、そんなに安くはできない」

その上で黒沢社長は、コメの生産者が物価高などによるコストの上昇で厳しい経営を迫られているとして、消費者に対し、コメの値段の適正化への理解を求めています。

黒沢ファーム・黒沢信彦社長「平成5年(1993年)の大冷害以降で30年ぶりにコメの値段がぐんと上がったが、30年前と比べると資材代、農薬代、運賃、人件費、30年前より明らかに物価が上がっているので、30年前の米価より安いこと自体おかしい。去年秋の米価が当たり前になってもらえれば稲作農家としては持続可能な農業が可能になる」

鶴岡市の農業生産法人「井上農場」では、価格高騰の影響で、これまでつながりがなかった業者からも買い取りの要望があるといいますが、去年は天候の影響で例年より1割ほど収穫量が少なく、常連客への販売を優先しているということです。井上馨社長は今回の備蓄米放出の効果は不透明だと述べています。

井上農場・井上馨社長「備蓄米を放出して価格が下がるだろうと政府は人ごとのように言っているが、結局価格を決めるのは入札した業者。だいたい1か月の需要量は55万トンくらい。21万トンの放出は1か月分需要の半分に満たないくらい。どれだけの効果があるかは我々もわからない」

江藤農林水産大臣は、品薄の状態になってから放出決定までに半年かかった点について「批判は甘んじて受け止める」と述べました。その上で、今回の対応でも流通の正常化に効果がなければ「21万トンを超えてでも出すんだという農水省の意志は示す」として、追加の放出も辞さない構えで、今後の動向が注目されます。

最終更新日:2025年2月14日 19:55