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『誰しも加害者になる』犯罪加害者家族を支援 立ち上げ人が語る「気軽に助けを求められる社会に」・山形

2024年4月2日 20:02
『誰しも加害者になる』犯罪加害者家族を支援 立ち上げ人が語る「気軽に助けを求められる社会に」・山形


NPO法人・WorldOpenHeart阿部恭子理事長「私たちが考えていくべきことは誰しも弱者である。誰しも被害者である。誰しも時には加害者になってしまう。だからそれに即したサポートはたくさんあっていい」

3月30日、山形市で開かれたシンポジウム。テーマに掲げられているのは犯罪被害者ではなく、犯罪加害者の家族への支援です。シンポジウムを開催したのは県弁護士会の有志らです。

遠藤凉一弁護士「犯罪加害者家族も被害者も(社会の)偏見に基づいてそういう(被害)が起きる。世の中から排除される、簡単に言うと…」

こう語るのは犯罪加害者家族の支援に取り組み、シンポジウム開催の発起人となった、遠藤凉一弁護士です。

遠藤弁護士は長年、犯罪被害者とその家族への支援に取り組んできました。反対の立場にも見える、”加害者家族”への支援を意識するようになったのは、加害者家族への支援活動を行う仙台市のNPO法人「WorldOpenHeart」の阿部恭子理事長が書いた記事を読んだことがきっかけだったといいます。

遠藤凉一弁護士「情状証人で(加害者家族に)出廷してもらうとか示談交渉でお金を出してもらうとか被告人のために働いてもらうという(認識を自分は持っていた。) アンケート結果が載っていてそれを見たら犯罪被害者と同じような環境に陥ると書いてあった。仕事を失うとか住んでいる場所にいられなくなるとか世間による誹謗中傷…読んでハッとして、犯罪加害者家族も被害者なので支援しなければいけないと思ったのが一番のきっかけ」

犯罪加害者の家族は加害者側として誹謗中傷などを受けることによる精神的な苦痛のほか、被害者への弁償などの経済的な負担、更に「加害者側」の人間として自責の念に苛まれ、悩みを誰にも打ち明けられずに抱え込む人も多いといいます。
遠藤さんは2018年11月、県弁護士会内に犯罪加害者家族支援センターを設立。弁護士会が立ち上げる支援組織としては全国初で、センターでは加害者家族からの相談を受けたり、支援に向けての広報活動に取り組んでいます。

遠藤凉一弁護士「(相談は)誹謗中傷を受けていることや仕事を辞めざるを得なくなった、生活の困窮、これからの生活をどうしていくかの不安が一番多い」

センター設立5周年を記念するシンポジウムでは、「WorldOpenHeart」の阿部恭子理事長らが加害者が犯行に至るまでの経緯や更生に向けた加害者とその家族の関わり方などをテーマに講演しました。また、弁護士などによる意見交換も行われ、家族に加害者の更生の責任を負わせる考え方は改めるべきといった意見などが出されました。
一方、センターに寄せられた加害者家族らからの相談は2018年11月から2024年1月末までの5年余りで24件に留まっています。

遠藤凉一弁護士「(5年間で24件は)少ないだろうね。(相談が少ない一因は)声を上げられないということ。自分の子どもが社会に迷惑をかけているのに自分が幸せになろうと相談や支援センターにアクセスしてアドバイスを受けることが世の中に申し訳ないのではというような気持ちも当然あるのだろう…そういう人たちも気軽に声を上げられる世の中を作っていかなければならない」

センターは今後も犯罪加害者家族への偏見をなくし、支援の輪を広げる活動に取り組んでいきたいとしています。