山形県内の町で唯一 消滅可能性自治体から脱却の三川町 脱却の背景は?
近い将来、人口減少によって消滅する可能性がある自治体に山形県内28市町村が該当すると先日、公表されました。その中で、県内の町で唯一、消滅可能性自治体に該当しなかったのが三川町です。その背景には何があるのか取材しました。
大型連休期間の中盤となった30日、三川町の子育て交流施設「テオトル」には、滑り台やトランポリンなどの遊具で元気に遊ぶ子どもたちの姿がありました。
利用者「なかなかこういう大きい遊具があるところは少ないので、子どもたちも走り回りたがるからこういうところだとエネルギーを発散できる」
4年前に町が整備したこちらの施設は子どもたちの遊び場としてだけではなく、子育ての相談受付や一時預かりといった子育て支援を行っています。
孫と一緒に来た三川町民「いろいろな施設ができているし、いまはいろいろ町の方でも支援があるようなので、子育てするにはいい町なのではないか」
民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」は、4月24日、2020年から2050年までの30年間で20歳から39歳までの若い女性の人口が50パーセント以上減少すると推計される市区町村を「消滅する可能性がある自治体」として発表しました。
山形県内では鶴岡市や酒田市、新庄市など28の市町村が該当に。山形・米沢・寒河江・天童・東根・南陽の6つの市と県内の町では唯一、三川町が該当しませんでした。
三川町は10年前の前回調査で、30年後には若い女性が52.8パーセント減少するとして「消滅する可能性がある自治体」に該当していました。
今回の調査では34.1パーセント減少と10年前に比べ20パーセント近く改善し、「消滅する可能性」を脱却しました。
大幅に改善した理由について三川町は「子育て世代の支援の充実を図り定住・移住できる環境を整えた結果、毎年、一定程度の若い世帯が転入しているため」と分析しています。
三川町企画調整課・佐藤亮課長「これまで子育て支援策や町以外の民間開発による住宅政策などが行われてきた。鶴岡市・酒田市に挟まれている立地という好条件を求めて転入してくる方が多いのが一番の要因と感じている」
三川町の最新の人口データでは、おととしまでの5年間で町から町外に転出した人は968人いる一方、転入者が1003人と町に転入する人が多くなっています。
鶴岡市や酒田市のいわゆるベッドタウンとして転入する人も多く、小学校の周りを中心に住宅地の開発が行われ、現在も新たな分譲地の整備が進んでいます。
町は子育て支援策の一つとして第1子を出産すると10万円、第2子は30万円、3人目以降は50万円の祝い金の支給も行っています。
さらに、直近の10年で新たに2つの保育園が出来るなど子育て環境の施設整備も進めています。
三川町に住む女性「出身は酒田です。出産したときの手当てだったり住宅も新築を建てるとなると補助金があったりするので、子育てしやすい環境だと感じる」
一方で、町の人口は毎年減少し続けているのが現状で、町は「今後も危機感を持って人口減少への手だてを考えていく」としています。