山形県内で相次ぐ山火事 新緑までの間の枯れ葉や下草が燃えやすい時期 気温の上昇も一因
なぜこの春は大規模な山火事が山形県内で相次いでいるのでしょうっか。専門家は、この春特有の気象状況や自然条件が絡み合い、火災の拡大に大きな影響を与えたと指摘しています。
火災の起きるメカニズムなどを研究している東京理科大学の桑名一徳教授です。桑名教授は、2021年3月まで山形大学で教鞭をとり、米沢市には12年間住んでいました。
東京理科大学桑名一徳教授「長い間米沢に住んでいたこともありますので、置賜地方で続いているということで、注目もしていましたし、心を痛めていた」
高畠や南陽で発生した大規模な山火事。4月の蛭沢湖周辺の火災ではおよそ40ヘクタール。4日に発生した南陽市宮内の山火事では3倍以上に及ぶおよそ137ヘクタールに燃え広がりました。
東京理科大学桑名一徳教授「枯れ葉などが溜まり、草とか木が青々と茂ってくるまでの間ぐらい。乾燥していて、風も強くて温度も高くなってくる5月ぐらいは1番林野火災が多い時期」
2021年までの過去5年間に全国で発生した山火事の平均発生件数を月別で示したグラフです。春先の5月にかけて100件以上の山火事が集中して発生してることがわかります。
桑名教授は、春先の草木は夏に比べ水分が少なく山火事が起きやすく、また、枯れ葉が残っていることが燃え広がった要因の1つだと考えます。
東京理科大学桑名一徳教授「ちょっと枯れた草はもう簡単に火がつくので、そうなるとなかなか消せない。丈の低い下草が焼ける火災が多く、山が整備されていなくて、地面の近くに燃えやすい草木がたくさんあると、火災の威力は強くなる傾向」
さらに、桑名教授は季節以外の要因も考えられるといいます。
東京理科大学桑名一徳教授「世界的には温暖化と山火事の件数は関係があると言われている。気温が上がることで火事が起きやすくなる。山形は暑い日が続いていると聞いているので、そういったことが1つ原因として挙げられる」
県内は4月、季節外れの暑さとなる日があり、置賜地方では4月下旬、米沢で29.5度の真夏日に近い気温を観測。桑名教授は高温になることで、山の乾燥がより一層進み火事が発生しやすい状況が整ったと考えます。
東京理科大学桑名一徳教授「水を大量にかければみんな火は消えちゃうでしょうと思うんですけど、意外と奥の方まで水が届かない。掘り返してみると中で燃えてたとかそういうこともあるので、本当に消えるまで水かけるのはなかなか容易ではない」
桑名教授は、山菜取りや行楽のために山に入る人が増えるこの季節、たばこやたき火などの火の後始末の徹底が大切だと呼びかけます。
東京理科大学桑名一徳教授「タバコの火は温度は低いが消えにくい。ほとんどの場合大丈夫かもしれないが、もしかしたら火事につながってしまうかもしれないことを認識して、確実に火を始末するということが大切」
県内でことし発生した山火事は野焼きなど人為的な理由が半数以上を占めていて、県は火の取り扱いには十分注意するよう呼びかけています。