北限が80キロ北上 鶴岡市沖でサンゴ発見 生息できる最低水温の定説更新へ 12月中に論文発表
山形県内で新たな発見です。国内での生息の北限が佐渡島とみられていたサンゴが鶴岡市加茂の海底で初めて確認されました。専門家はサンゴの生息域の北限がおよそ80キロ北上し、生息できる最低水温の定説が更新される新発見と指摘しています。
東京大学大学院 山野 博哉教授「これまでサンゴの確認は一番北の記録は新潟・佐渡島だったですので山形にいるとはまったく思っていなかった」
県内の海で初めて確認されたサンゴです。去年4月、鶴岡市のダイビングショップ「アーバンスポーツ」のスタッフが市内加茂地区の海で潜水中にサンゴらしきものを見つけたとSNSに投稿しました。
アーバンスポーツ相星 克文さん「信じられなかったです。だって東北ですよ。サンゴがまさか、いまでもそう思います。」
情報をもとに、サンゴ礁を研究している東京大学大学院の山野博哉教授がことし10月、現地で潜水調査した結果、サンゴの一種「キクメイシモドキ」と確認されました。
東京大学大学院 山野 博哉教授「岸から20メートルいくかいかないかのすごく近い所です。水深が5メートルくらいで岩に張り付くような形で半径30メートルくらいを探索して9群体いた。探せばもっといると思う」
山野教授によりますと、「キクメイシモドキ」は「造礁サンゴ」と呼ばれるサンゴです。造礁サンゴは分裂して大きくなりサンゴ礁になります。「キクメイシモドキ」はほかの種類がいない低水温や水が濁っている環境でも生息でき日本の海域では最も北に生息しています。
山野教授「キクメイシモドキはあまり生態が分かっていない。どのくらいの速度で成長するのか。ただ、サイズは今回見つけたのが大きいもので直径4センチくらい。でも生息してからここ2、3年という話ではないひょっとしたら10年経っているかもしれない。成長速度は恐らく遅いと思うので」
今回の調査で見つかったのは最大で4センチでしたが、「アーバンスポーツ」によりますと、さらに成長したサンゴも生息しているということです。
アーバンスポーツ相星 克文さん「場所によっては5~7センチ、こぶしくらいのサンゴもあります」
これまでは新潟県の佐渡島がサンゴが生息できる北限と考えられていましたが、加茂地区で確認されたことで生息域が直線距離でおよそ80キロ北上したことになります。
山野教授「温暖化で暖かくなってやってきたという可能性はあると思う」
山野教授はさらに、今回の発見でサンゴが生息できる最低水温の定説も更新されると指摘します。
山野教授「加茂の冬場おととし2月に月の平均水温が8度まで下がっている。佐渡島だとだいたい冬場の一番寒い月で平均水温10度。いままでは生息できるのが10度だろうと思っていた。だが今回、加茂の水温が8度だったということで生息できる水温の限界がそもそも違っていたと。それが今回の発見の第一の意義かなと思う」
サンゴがこれまでの定説よりも2度低い場所で生息できることが明らかになった鶴岡市での新発見。山野教授は調査結果をまとめた論文を12月中に発表する予定です。