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救命胴衣着けないまま消防団員が高齢者救助 実は酒田市の配備率はわずか7.8%

2025年1月21日 18:26
救命胴衣着けないまま消防団員が高齢者救助 実は酒田市の配備率はわずか7.8%

庄内と最上を中心に甚大な被害をもたらし、警察官2人が川に流され死亡した去年7月の豪雨災害から間もなく半年です。水害現場の最前線に出動する消防団の救命胴衣の配備率が県内の市町村によって大きな差があることが分かりました。庄内の現状を取材しました。

相蘇弥さん「ここしか居場所がなくなった。橋に引っかかった流木に当たった水が橋の上から上がってこっちに流れてくる状態だった。」

去年7月の豪雨災害では、酒田市の荒瀬川の氾濫で、国道344号が道路の冠水や崩落で寸断されました。当時、下青沢の白玉橋付近で通行止めの誘導に当たった酒田警察署の警察官や地元の消防団員の相蘇弥さんら7~8人が橋のそばに取り残されたということです。
一歩間違えば多くの犠牲者を出すところでした。さらに相蘇さんら2人は、集落の中を車ごと流されていた高齢の男性を救命胴衣など着けないまま腰まで泥水に浸かって救助し後日、酒田市長から感謝状が贈られました。

酒田市矢口明子市長「お二人も大変な状況にあったと思いますがその中でさらに人を救う行動をとって下さったと知りまして本当に敬服の気持ちでいっぱいです」

ところが酒田市では、水防活動に当たる消防団の救命胴衣の数が全く足りていなかったことが分かりました。

酒田市矢口明子市長「市消防団員1569人に対して救命胴衣はわずか123着しか配備出来ていない状況で大変心苦しく思っています」

酒田市内の消防団に現在配備されている救命胴衣は、1569人の団員に対しわずか7,8%。去年7月の豪雨で実際に出動した団員886人に対しても13・8%の配備率にとどまっているのが現状です。

最上川をはじめ大きな河川が流れる庄内地域の市と町にYBCが聞き取りしたところ
◇鶴岡市は2700人余りの消防団員に対し1181着を配備。
◇三川町はおよそ230人に対し100着。
◇庄内町はおよそ750人に対し104着の配備に留まっています。
◇一方、遊佐町ではおよそ520人の団員に対し去年までに400着が配備されていました。

遊佐町消防団第1分団 本間勝浩分団長「水害への出動については全団員が必ず救命胴衣を着用するようにと徹底されましたし新たに配備されたゴムボートとかの訓練を充実させるような指示を受けています」

去年7月の水害で実際に現場に出動した団員はおよそ250人。救命胴衣は全員に行きわたる数がすでに確保されていました。
消防庁は、東日本大震災で多くの消防団員が犠牲になったことを受けて2014年に、消防団の装備基準を改め救命胴衣をすべての消防団員に配備するよう求め、補助金も交付しています。

酒田市矢口明子市長「予算全体を見ないと確定的なことは言えない訳ですけれども令和7年度から少しずつと思っておりますし何か年かかけて早めに配備してあげたい」

警察、消防などに加え水害の最前線で対応に当たる消防団員たちにも一刻も早い救命胴衣の配備が求められています。

最終更新日:2025年1月21日 20:09
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