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反転攻勢へ"守備の原則"構築できるか 勝ち点"最低ペース"のJ2甲府 山梨県

2024年6月15日 8:00
反転攻勢へ"守備の原則"構築できるか 勝ち点"最低ペース"のJ2甲府 山梨県
暫定順位表(長崎といわきは1試合少ない)
 サッカーJ2・ヴァンフォーレ甲府はリーグ前半戦を終え、20クラブ中13位と低迷しています。J1昇格プレーオフ圏の6位との勝ち点差は8。苦しいシーズンとなる中、甲府OBの堀井岳也さんが前半戦を総括。後半戦に向け、提言しました。

■勝ち点は”最低ペース”

 ここまでの戦績は6勝5分け8敗。ホームは9試合でわずか1勝にとどまっています。積み上げた勝ち点は23。直近のJ2降格以降、最低のペースです。

【前半終了時の勝ち点(1試合当たりの勝ち点)】
2018年 28(1.33)
2019年 33(1.57)
2020年 34(1.62)
2021年 37(1.76)
2022年 27(1.29)
2023年 36(1.71)
2024年 23(1.21)
※23年以前は21試合、24年は19試合

堀井さん

「システムを藤枝戦から変え、攻守ともにある一定の手応えはつかんだと思うが、それがまだ勝ち点3につながっていない。ここからどう積み上げるか、真価が問われる時期」

■喫緊の課題は守備

 甲府は篠田善之監督が就任した昨季から、4バック(4-2-3-1)をベースに堅守速攻を磨いてきました。しかし、堅守には程遠く、今季の失点はリーグワースト5位タイの28。1試合平均で1.47です。

 不振が続く中、6月1日の第18節・藤枝MYFC戦以降、第19節・ベガルタ仙台、そして天皇杯2回戦と、システムを3バック(3-4-2-1)に変更。守備時は最終ラインに5人がそろい、自陣の引き締めを図りました。藤枝戦は2失点しましたが、仙台戦は1失点に抑え、7試合続いた複数失点を止めました。天皇杯はアマチュアシードのHondaFCとの対戦でしたが、無失点に抑えました。

■見え始めた堅守構築の兆し

堀井さん

「前線の選手の得点力を生かしたカウンターで何度か点は取れているが、『どう奪うか』に安定感はまだなく、いいカウンターにつなげられていない。ただ、一人一人の守備は本当に頑張っている。ディフェンスラインと中盤ラインの連係や、チームの守備の原則として再現性のあるカバーリングの連係を構築したい。そうすればよりオートマチックに選手がカバーリングのポジションを取れて、もう少しボールに強く行ったり、安定感も出たりする」

■相次ぐ負傷離脱 逆境に耐えるとき

 今季の甲府はけが人が多いのが特徴。3月にGK河田晃兵選手の負傷が発表されると、4月にはDF井上樹選手、DF神谷凱士選手、GK渋谷飛翔選手、MF小林岩魚選手の負傷も明らかに。河田選手も再び負傷が発表されました。5月もDFエドゥアルド・マンシャ選手、MF木村卓斗選手、DF孫大河選手、FW三平和司選手、MF三沢直人選手の負傷を発表。戦線に復帰した選手もいますが、守備陣を中心に苦しい台所事情が続きます。

堀井さん
「アンラッキーなことがたくさんあるが、その中でも選手は本当に歯を食いしばって頑張っている。けが人が戻ってきたときにはチームの底上げにつながる。苦しい時期だからこそ、チームとしてまとまり、けが人が戻ってきたときによりレベルの高いチームになれていればいい」

■攻撃力を生かすためにも「原則」を

 今季はFWファビアン・ゴンザレス、MFアダイウトンを獲得。FWピーター・ウタカとともに強力外国籍アタッカー陣がそろいました。ゴンザレスは2得点にとどまっていますが、ウタカは6得点、アダイウトンはチームトップの8得点を挙げています。

堀井さん
「特にスペースがあるときには個の力を存分に出せている。ただ、個の力に加えて周囲のコンビネーション、グループとして再現性のある攻撃がいかにできるかは、まだまだ足りない。堅守速攻のスタイルは選手一人一人にしっかり浸透し、実際にその形で点も取れている。堅守速攻を体現するためには、組織的な守備の安定、構築が不可欠。4バックから3バックにして、守備時は自陣で(3バックに両ウイングバックを加えた)5枚のブロックを作る場面も増えてくる。チームを一つに、同じコンセプトでしっかりとした組織にすることがより問われる」

 そのためには「原則」が大切だと言います。

堀井さん
「選手がピッチの中で迷わないように、チームの守備の原則をより明確にすることが大事。特に大事なのはディフェンスラインとボランチのところ。原則が明確になれば選手も迷わず、今はどういう守備をすべきか、ボールを奪いに行くのか、ゴールを守るかがはっきりする。自信を持った守備ができる。攻撃はまだまだロングボールに頼っている部分があるが、安定してビルドアップしてボールを前進させることも大切。最終ラインにボランチも絡めながら、お互いがいい距離感を保ち、自分たちの武器になるビルドアップも1つ2つ持つ。(攻撃の戦術に)変化を加えるという意味で、ビルドアップ、ポゼッションの質をもう一段高めていく必要がある」

 リーグ後半戦のスタートとなる第20節は16日にアウェーで行われ、暫定8位・いわきFCと対戦します。

【今季の戦績】
第1節 〇5-1 vs徳島ヴォルティス(アウェー)
第2節 〇2-1 vs水戸ホーリーホック(アウェー)
第3節 ●1-2 vs栃木SC(ホーム)
第4節 〇1-0 vsモンテディオ山形(アウェー)
第5節 △1-1 vsいわきFC(ホーム)
第6節 △1-1 vsV・ファーレン長崎(アウェー)
第7節 ●0-2 vsレノファ山口FC(ホーム)
第8節 〇1-0 vs鹿児島ユナイテッドFC(アウェー)
第9節 ●0-1 vs清水エスパルス(ホーム)
第10節 △3-3 vsロアッソ熊本(アウェー)
第11節 ○4-1 vsザスパ群馬(ホーム)
第12節 ●1-2 vs愛媛FC(アウェー)
第13節 ●1-2 vs大分トリニータ(ホーム)
第14節 ○3-2 vsブラウブリッツ秋田(アウェー)
第15節 △2-2 vsジェフユナイテッド千葉(ホーム)
第16節 ●0-2 vsファジアーノ岡山(アウェー)
第17節 ●1-2 vs横浜FC(ホーム)
第18節 ●1-2 vs藤枝MYFC(アウェー)
第19節 △1-1 vsベガルタ仙台(ホーム)

山梨放送
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