【独自解説】トランプ大統領も興味津々⁉北朝鮮に新大型リゾート開業へ 金正恩総書記の肝いりで約10年をかけ開発した『独特かつ近代的な海岸観光都市』…観光客の受け入れ再開した北朝鮮で今、何が―

“全世界”から観光可能となり、6年ぶりに『平壌国際マラソン』も開催されるという北朝鮮。2025年6月には、金正恩総書記の肝いりで約10年をかけて開発したという大型リゾートも開業予定です。観光ツアーの内容は?北朝鮮で今、何が?『コリア・レポート』編集長・辺真一氏の解説です。
■北朝鮮、“全世界”から観光可能に ツアー行程に『銀行』…一体なぜ?
北朝鮮では、中国やロシアとの国境近くにある『羅先(ラソン)経済特区』に限り、“全世界”からの観光の受け入れが再開されました。北朝鮮側から中国などの旅行会社へ通達があったということです。『羅先経済特区』は自然豊かな観光都市で、“コロナ前”は外国人観光客が多く訪問した人気のエリアです。
2025年2月20日からのツアーでは、期間は4泊5日・費用は約11万円で、行程は工場・銀行・市場・テコンドー学校などとなっています。ただし、「アメリカ人と韓国人は対象外」との注意書きが。ちなみに銀行では、未公開のレートで北朝鮮ウォンに両替可能で、北朝鮮現地の銀行口座を開設できるということです。
Q.北朝鮮ウォンに両替できたり、口座を作れるのは、何かメリットがあるのでしょうか?
(『コリア・レポート』編集長・辺真一氏)
「例えば旅行者が日本円を北朝鮮ウォンに替えようとすると、100円が600ウォンぐらいになりますが、闇市場に行くと、その10倍ぐらいの6000ウォンぐらいに交換できたりします。北朝鮮としては、『ここで両替しなさい』ということかもしれません」
Q.羅先は、北朝鮮国民が観光に行ける場所ではないのですか?
(辺氏)
「国内の人たちは立ち入り禁止です。ここで働く従業員以外は何人たりとも入ってはならず、完全に隔離されています。だから、ここでは外国人向けのカジノも合法で、許されています」
また、『平壌(ピョンヤン)国際マラソン』が6年ぶりに開催されます。2019年には国内ランナーの他、約1000人の外国人も参加していました。マラソンツアーも募集していて、期間は2泊3日~・費用は約10万円~。平壌・開城(ケソン)などの観光付きですが、こちらも注意書きがあり、「日本とアメリカの国旗の表示・使用は禁止」となっています。
Q.『羅先経済特区』はアメリカ人と韓国人が対象外、『平壌国際マラソン』は日本とアメリカの国旗の表示・使用禁止というのは、統一感がないような気がしますが…。
(辺氏)
「北朝鮮は、韓国を“第一の敵”扱いしていますので、完全に外しています。日本とアメリカは敵勢国家ですが、“いずれ関係を改善する・国交を結ぶ相手”と思っていて、今回入国を認めるということは、『お金を落としてもらいたい』ということだと思います。ただし、日本人だアメリカ人だということをオープンにはしてほしくないので、そういう意味で、国旗の表示・使用は許さないということではないでしょうか」
■「立地的に世界最高のホテル」トランプ大統領が興味津々 大型リゾート開業へ
そんな北朝鮮では2025年6月、新たな大型リゾートが開業予定。首都・平壌から東に約200kmの『元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区』には、複数のホテル・旅館やサービス施設があり、金正恩総書記の肝いりで約10年をかけて開発したということです。2024年7月、金総書記は「世界に誇る朝鮮式の独特かつ近代的な海岸観光都市」だと語っていて、同年12月にはジュエ氏とみられる娘と共に視察しました。
Q.ここも、北朝鮮国内の人は行けないんですか?
(辺氏)
「『世界リゾート開発地区』と指定しているので、国内の人は相手にしておらず、恐らく今後は中国やロシアを中心に集客すると思います。ただ、箱物はでき上がりましたが、内装を含めたインフラがどうなっているかは、全くわかっていません。今、私たちが目にしているのは『モデルハウス』といっても過言ではないと思います」
Q.金正恩総書記が実際にホテルの中に入って見ているかどうかは、わからないということですか?
(辺氏)
「1階から最上階まで全部揃っているかどうかは、わかりません。6月オープンですから、恐らくあと数か月の間に完成するとは思いますが、今の段階では、そこまで手が及んでいない可能性もあります」
一方、このリゾート開発に興味津々なのは、米・トランプ大統領です。2018年には、「韓国があり、中国があり、その真ん中の土地を所有している。立地的に世界最高のホテルを建てることができる。それがどれほど素晴らしいことか」と話していました。
Q.今、ウクライナ侵攻に派兵などをすることによってロシアから外貨・食料・石油などが入ってきていますが、トランプ大統領の出現によって停戦になると、その資源を失う可能性があるので、観光業に舵を切ったということは考えられますか?
(辺氏)
「その計算は成り立つと思います。北朝鮮からすれば、少なくともこれからアメリカと交渉して、制裁を解いてもらう方向にもっていきたいのでは、と思います。というのも、制裁が解かれない限り、開発リゾート地は成り立たないからです。アメリカとの交渉がうまくいけば、ウクライナにこれ以上兵隊を送る必然性がなくなるので、ウクライナ派兵で手にした外貨や経済的なメリットを、今後アメリカとの交渉にシフトしたいという考えは、当然あると思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年2月20日放送)