【速報】クジラ「淀ちゃん」処理費用めぐり大阪市港湾局の局長ら5人処分 3人は減給などの懲戒処分
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2023年1月に大阪湾に迷い込んで死んだクジラ「淀ちゃん」の処理費用などをめぐり、外部の監察専門委員が「大阪港湾局におけるガバナンスが機能していなかった」などと指摘していた問題で、28日、大阪市は港湾局の局長ら5人について、3人を減給や戒告などの懲戒処分、2人を訓告や口頭注意にすると発表しました。
■処理費用は当初の“4倍”8000万円超
2023年1月、大阪湾に迷い込み「淀ちゃん」という愛称で親しまれたマッコウクジラは、発見から4日後に淀川の河口付近で死んだことが確認され、その後、大阪市と契約した海運業者が死骸を紀伊水道沖まで運び、海に沈められました。大阪市は当初、処理費用を2068万円と見積もっていましたが、実際には4倍近い8019万円にまで膨らみました。
この問題をめぐっては、去年2月に住民監査請求が提出され、4月には大阪市の監査委員が「委託した業者ありきで検討が進められたと考えざるを得ない」などと指摘。金額についても「多額の不要な支出が疑われる」などとして再調査の必要性があるとして、大阪市の横山市長が外部の監察専門委員に調査を依頼していました。
■関係業者らと会食…調査報告「港湾局のガバナンス機能せず」
外部委員は今年1月、調査結果の報告を行い、「委託業者の選定に恣意性があったとまでは断定できず、積算価格の算出自体についてはやむを得ない面があったと言わざるを得ない」などと、大阪市への損害は認定できないと判断しました。一方、関係業者らとの会食などは不適切なものであり、「大阪港湾局におけるガバナンスが機能していなかった」「事務マニュアル等の順守を徹底すべき」などと指摘しました。
特に大阪港湾局と委託業者との間の会食については、「検討状況が港湾局から委託業者に知られたことによって、港湾局と業者のいずれにも方針変更したという事実は認められなかった」などと、特段の問題は無かったと結論付けました。しかし、委託業者側の担当者と港湾局の課長は旧知の中であったことに触れ、「検討内容の部が港湾局から業者側に伝わったであろうことが窺え、市民に疑惑や不信を招く、適正性が疑われる行為であった」と指摘していました。
■局長を「減給1か月」 業者と会食した職員ら2人「戒告」
28日、大阪市は、関係者の処分について発表し、契約締結の決裁権者だった港湾局の局長を「減給1か月」、業者と会食をした当時の課長級職員と、当時担当の部長級職員の2人を「戒告」の懲戒処分としました。
そのほか、今回の契約に関わった職員2人を、それぞれ「文書訓告」と「口頭注意」としています。
市の担当者は、「市民の皆様の信用を著しく失墜し、深くお詫び申し上げます」と謝罪し、「市民の皆様に疑惑を招いた事実、結果を重く捉え、それぞれの行為や職責に応じて厳正に処分を実施した。全市一丸となって市民の信頼回復に努めていきたい」とコメントしています。
大阪市の横山市長は28日、「ご心配とご迷惑をおかけし本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した上で、「再発防止に努めながら、市民の皆さんに不信感を抱かれることないように徹底して再発防止に努めていきたい。全ての業務において今一度、全ての職員が緊張感もってこういうことが起きないように、厳正に市政を執行していくことを改めて固く心にとどめたい」と語りました。