直径20m以上に拡大…埼玉・道路陥没事故 破損した下水管からは大量の汚水…日常生活にも大きな影響 今後はスロープ作り救助活動
発生から2日が経ちました。埼玉県八潮市の道路が陥没しトラックが転落した事故は、依然として、運転手の救助活動が難航しています。30日未明には、2つの穴が大きな1つの穴になり、危険な状態が続いています。
埼玉県の県道で道路が陥没し、トラックが転落した事故。発生当初は1つだった穴が、翌日の未明には2つになり、新たにできた穴はさらに拡大。
そして30日、2つだった穴は1つにつながり、直径20メートル以上になっていました。横断歩道の位置を見ると、陥没の範囲がかなり拡大していることがわかります。
これは崩落の瞬間をとらえた映像。午前2時半すぎ、隊員らがいる救出現場の電柱が揺れ始めます。そして、画面左下に映る道路が崩落。その場にいた隊員らがあわてて退避します。
午前3時20分ごろには、崩落によるものとみられる砂煙が穴の中で発生。早朝にはアスファルトが滑り落ちていく危険な場面も。崩落は30日も断続的に続いていて、現場は二次災害への警戒が高まっています。
運転手の男性とは28日午後1時以降、会話ができておらず、安否は不明です。
消防は、穴の周辺を掘ってスロープを作り、重機を投入して、がれきの撤去を進めてから救助作業を行うとしています。
八潮消防署・佐藤徹司署長
「これまで、はしご車のバスケット(先端部)を用いて直接的に接触を試みたが、だんだん深さが増してきたので、困難となってきた」
男性が取り残された穴には、破損した下水菅から水が流れ込み、それが救出の妨げになっています。
いま、埼玉県が進めているのは…
中山正敏リポーター
「陥没現場の下を通る下水の量を減らすため、29日夜遅く、ポンプ車を使うなどして周辺の川へ緊急放流が始まっています」
汚水の緊急放流を始めたのは、八潮市の現場から約16キロ離れた埼玉県春日部市。この地域の下水道管は、八潮市の隣にある三郷市で処理されていて、今回、陥没が発生した場所は下水が集約される地点です。
陥没現場に流れ込む下水の量を減らし、さらなる崩落を防ぐ狙いで、汚水はできる限り消毒をして川に流すということです。
救助が難航する現場で何が起きているのか。中継で最新情報をお伝えします。
(取材・報告=中山正敏リポーター)
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中山正敏リポーター
「事故の発生から55時間が経とうとしている陥没現場です。現場では現在も危険区域に設定されていて、穴から半径200メートル以内は立ち入りが規制されている状況です。私たちも200メートルほど離れた場所からお伝えします。
今、穴の手前に見えているのは移動したトラックの荷台部分になります。29日まであった場所から、場所を移動しているんですが、さらに地盤沈下あるいは陥没が拡大する恐れがあるということで移動されました。
あたりには、消防隊の姿もありますし、大型の重機も何台も並んでいるのは見えるのですが、穴の周辺で直接的な作業を行っているのは現在、見受けられません。
30日午前2時37分に新たな崩落が起きて、2つの穴が1つになりました。依然として瓦礫の崩落は続いている状態だということです。消防によりますと、救助活動については安全を確保しながら慎重に進める必要があるということです。
気になる運転手の方の状況ですが、運転席が目視できない状態だということです。車の中に空間が確保できているのか、あるいは車内に酸素を供給できる状況なのか、目視できていない状態なので分からないということです。
この穴の中の状況ですが、下の方で水が勢いよく流れ落ちているような状況だそうです。溜まっているのは確認できないものの、中での作業は今のところ厳しいということです。
そして救助活動の障害になっているのが、交差点の上にたくさんかかっている電線なんです。この電線によって重機の活動が制限されるということで、消防が東京電力と協議して30日午前、電線を切断しました。
ただ今回切断したのは通信線なので、停電などはしないということです」
黒木千晶キャスター
「周辺住民の方のライフラインへの影響も大きく出ていますよね」
中山リポーター
「そうなんです。こちら八潮市だけではなくて、周辺の自治体も含めて約120万人の方の日常生活に影響が及んでいるという状況です。
まず下水ですが、なるべく流さないにしてほしいという協力要請が出ていて、洗濯やお風呂は目途が立つまで控えてほしいということです。
そして下水の量を減らすためということも含めて、水道水の緊急停止というのも、八潮市で行っているんです。ただ、水道水の緊急停止で水が出なくなるということではないんですけども、水圧が下がる、あるいは水が濁るというようなことも起こるということです。
さらに、都市ガスも一部で供給が停止される状況になっているんです。なるべくエリアを絞って、130戸の都市ガス供給停止ということになっているんですが、店舗が営業を休止したりするなど市民生活にも影響が出ているという状況です」
黒木キャスター
「今後の救助活動の方針は、どうなっているんでしょうか」
中山リポーター
「消防が、専門業者などと話し合った結果、今後は穴から少し距離をとって安全な場所から重機を使ってスロープを作り、完成後に重機を投入する方針だということです。
30日午後1時半から、穴の右手側にある飲食店の駐車場からスロープを作る作業が始まっているんですが、当面はこの作業が中心になるということです。
29日もスロープを作る作業が、午後8時頃から穴の周辺で始まっていたんですが、作業がなかなかうまく進まない中で、さらに新たな崩落が起きてしまったということです。
現場が局所的ということもあり、大勢が一気に作業に当たることができません。 応援の部隊が投入されていましたが、この応援部隊に関しては一旦戻って、すぐに対応できる状態で待機していただくということです。
今後はスロープが完成してから、運転席の救助に向かうということになるということです」