【独自密着】「今までにない経験よ!」「この旅行の目玉なの!」東京・渋谷区の“公衆トイレ”に外国人が殺到!「日本の思いやりの心が最も形となった場所」人気の秘密は、ある映画の“聖地巡礼”!?
『東京・渋谷区の公衆トイレを見て回る』という一風変わったツアーに今、海外からの観光客が殺到しています。海外の人たちをトリコにする、そのワケは?トイレにみる日本の魅力とは?公衆トイレツアーに密着しました。
「とにかくトイレを先に見てみたかったのよ!」“前代未聞のツアー”の目的は、有名建築家・デザイナーが手掛けたトイレの数々「今回の旅行の目玉が、このトイレツアーなの!」
2024年5月2日、東京・渋谷。過去に例をみないインバウンドを追い風に活況をみせる東京観光において、今“最もHOTなツアー”が始まろうとしていました。
(オーストラリアからツアーに参加)
「1回のツアーで、日本の有名な建築家の様々な作品を見られるというのが魅力だわ。こういうのって、今までにない経験よ!」
着いたのは、鍋島松濤公園です。一斉に写真を撮り始めた参加者たち。
(ツアーの参加者ら)
「Oh!Cute!」
「So cute!」
「Very cute!」
彼女たちが、東京でどうしても訪れたかった場所―それは、木で囲われたオシャレなアスレチック施設。
…ではなく、公衆トイレです!
実はこのツアー、渋谷区内に17か所ある有名建築家やデザイナーが手掛けた『アートな公衆トイレ』を巡るという、一風変わったもの。ちなみに、こちらのトイレのデザインを手掛けたのは、世界的建築家・隈研吾氏です。
(オランダからツアーに参加)
「13時間以上も飛行機に乗って、さっき日本に着いたばかりなの。でも、ホテルで休むのは後でいいの。とにかくトイレを先に見てみたかったのよ!」
(オーストラリアからツアーに参加)
「今回の旅行の目玉が、このトイレツアーなの。友だちには『一体、何を考えているのよ?』って言われたけど。多分、私がどうかしちゃったと思っているんじゃないかしら(笑)」
公衆トイレを訪れる度に、スマホで写真を撮りまくる参加者たち。その姿は、まるで歴史ある世界遺産を目の当たりにしたかのような真剣さです。
一体なぜ、『公衆トイレを見学する』という前代未聞のツアーが生まれたのでしょうか?ツアーを開催する会社の代表は…。
(ツアー運営会社「NearMe」代表・髙原幸一郎氏)
「トイレをツアー化するというのが珍しいと思うんですけど、渋谷の持っているトイレのコンテンツが非常にユニークで、世界に発信できるぐらいの大きなインパクトがあるかなと思って、このツアーを企画しました。3月に始めて、すでに100名以上の方にご利用いただいているツアーになっています」
『東』と『西』、2つのコース用意されているツアーの参加費は、4950円(税込み)。「ミヤネ屋」が同行した『西コース』は、9か所の公衆トイレを巡ることができます。
ツアーの中でも、とりわけ目を引くのが、七号通り公園のトイレ。純白の美しい球体ですが、入り口はどこ…?
(ツアーガイド)
「トイレの使い方は、まずアプリをダウンロードして、Siriを使う時みたいに『ハーイ、トイレット、オープン!』と話しかければいいの」
(ツアーの参加者たち)
「Oh~!」
『非接触』がテーマのこのトイレは、ドアの開閉から排水・温水洗浄便座の機能に至るまで、全てを音声で行える仕様となっています。
カラフルなガラスの箱を並べたかのような、ポップで近未来感あふれる代々木深町小公園のトイレ。清潔感と安全性を考慮し、人がいないときには半透明になる仕組みを採用しています。
Q.ご自身の国に、こういうトイレはありますか?
(オーストラリアからツアーに参加)
「まさか、もちろんないわよ。もしオーストラリアにこんなトイレ作ったら、すぐに落書きされたり、いたずらされたりするでしょうね」
Q.半透明になるこのトイレ、使ってみたい気持ちはありますか?
(オーストラリアからツアーに参加)
「その時は、先にあなた達から入ってね(笑)」
「“ニッポンのトイレ”をもっと知りたい」「より深く理解したい」との欲求は収まらず…。9か所を巡るツアーも佳境に入ったころ、参加者の1人が実際にトイレを利用してみることになりました。
世界に二つとない公衆トイレ。果たして、使い心地は―?
(オランダからツアーに参加/実際に公衆トイレを体験)
「良かったわ!他に何て言えばいいのよ(笑)きれいなトイレだったし、満足しているわ(笑)」
Q.海外では馴染みのない温水洗浄便座は?
(オランダからツアーに参加/実際に公衆トイレを体験)
「とても使えなかったわ。実は今朝、空港で使ってみたんだけど、止め方がわからなくて大変なことになっちゃったの。あんなのは、もうごめんだわ(笑)」
笑いと感動のうちに、2時間あまりのツアーは終了。
(オランダからツアーに参加)
「とても良かったわ」
(オランダからツアーに参加)
「日本のトイレは、小柄な人や年配の人、それに体が不自由な人への配慮もなされて、誰にでも使えるように工夫されているわ」
(オーストラリアからツアーに参加)
「トイレにあれだけの先進技術が使われていることに、まず驚かされたわ」
Q.参加費4950円を払う価値はありましたか?
(オランダからツアーに参加)
「あるわ。もちろんよ!」
大満足の様子で帰路に就いた参加者たち。渋谷区の公衆トイレが、これほどまでに外国人観光客をトリコにする―その秘密は、フランス・カンヌの“役所”にありました。
「トイレの持つ“負のイメージ”を一気に変えられる魅力が、渋谷のトイレにはある」映画“聖地巡礼”で人気に火が…渋谷区が力を入れる“トイレ刷新事業”
「渋谷区観光協会」と「株式会社NearMe」が2024年3月から開催している『THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR(ザ・トウキョウ・トイレ・シャトルツアー)』。4950円(税込み)のこのツアーは毎週木曜日・土曜日に開催され、1周2~3時間、東コースは8か所・西コースは9か所の有名建築家・デザイナーが手掛ける公衆トイレを巡ります。予約は6月分まで埋まりつつあるということです。
このツアーの人気の裏には、映画『パーフェクト・デイズ』が関係しています。2023年『カンヌ国際映画祭』では、主演の役所広司さんが最優秀男優賞を受賞しました。ツアーでは、映画の舞台となったトイレを案内していて、“聖地巡礼”目的の観光客が増加しているということです。
映画製作の発端も2018年から始まった渋谷区の『トイレ刷新事業』で、今回のツアーは同事業の一環です。株式会社NearMe・高原代表は、「トイレの持つ“負のイメージ”を一気に変えられる魅力が、渋谷のトイレにはあると思った」と話しています。
トイレツアー参加者からは、「とにかく綺麗で清潔。オランダは汚くて臭い。できるだけ公衆トイレを使わないようにしている」「温水洗浄便座を一度使ってみたけど、止め方がわからなくて怖くなっちゃった」「東京のトイレは、日本の思いやりの心が最も形となった場所。とても考えられている」といった声が聞かれました。
Q.岸さんも様々な国に行かれたと思いますが、日本ほどトイレが充実している国はないですよね?
(元経産官僚・岸博幸氏)
「本当に日本のトイレは清潔だし、何より渋谷区のトイレは有名建築家を使って、デザインの観点から見ても面白いです。欧米の人はデザイン好きが多いので、映画きっかけではあるんですが、改めて日本の建築家のデザインを見て、好きになっているんだと思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年5月3日放送)