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【年金企画】母から引き継いだのは「億単位の借金」退職金全額費やすも賄えず、年金月額30万円も借金返済に充てる日々…その中で見つけた“生きがい”「目指すは全国1位や」

2024年8月24日 20:00
【年金企画】母から引き継いだのは「億単位の借金」退職金全額費やすも賄えず、年金月額30万円も借金返済に充てる日々…その中で見つけた“生きがい”「目指すは全国1位や」
苦しい生活の中、前を向く年金受給者に密着

 2024年8月15日(木)は、2か月に1度の年金支給日。銀行ATMの前に朝から多くの受給者が並び、喜びの声が聞こえる一方で、苦しい生活を送る人も…。『ミヤネ屋』は、大阪市内で出会った年金受給者・田中さん(80)を密着取材。厳しい生活、年金受給が30万円と高額も「しんどい」と漏らす背景には、母から受け継いだ「億単位の借金」がありました。

■上場企業勤務で年金月額30万円!それでも「生活はしんどい」ワケ

 大阪市内の商店街で出会った田中潤一さん(80)は、なんと年金の月額が30万円!後日、詳しくお話を伺うため、田中さんが管理しているというビルに案内してもらいました。

 普段、自身が所有するビルの1室で、ビル管理の仕事をしている田中さん。一緒に出迎えてくれたのは、妻の眞智子さん(72)です。

Q.ビルの管理とは、どんな仕事内容でしょうか?
(田中さん)
「苦情があれば、それに応えていくだけです。難しい問題は掃除です。あと、火事とか。この頃多いじゃないですか、人がいないときにガソリンをまいて火をつける。そういう防犯・防火の面で、ここに朝の9時から夜の9時までいます。ビルの管理は大変です」

 気になるのは、月々の受給額30万円です。他の人より多いように思えますが、一体なぜ、田中さんはこれだけの金額を手にしているのでしょうか。

(田中さん)
「一部上場会社におらな、あかんでしょうね。それと、企業で働いたという企業年金をもらえるようにせないかんのと、保険の年金もこの中に含まれていますから」

 田中さんが受給している年金は「国民年金」「厚生年金」に加え、勤めていた会社の「企業年金」、さらに「個人年金保険」など、サラリーマン時代から老後生活を見越して多くの保険料を納めてきたといいます。

 一見、何不自由ない生活をしていると思いきや、実はとんでもない悩みが…。

(田中さん)
「“借金ビル”を抱えているもんですから、そこに年金を費やしていっているので、しんどいはしんどいですね」

■突然引き継がれた「億単位の借金」 年金は全てその返済に…

 3人きょうだいの長男として生まれた田中さんは、4年制大学・大学院を出て営業マンとして就職し、その後、石油関係の一部上場企業へ転職。そして19回の転勤を経て、東京本社勤務に落ち着きました。しかし、その矢先に母親にこう告げられました。

(田中さんの母親)
「あなたの営業力で商売を継いでほしい」

 大阪に呼び戻されて受け継いだのは、母が管理するビルの“経営権”。そして、建設時から残る“億”を超える多額の借金でした。当時、母は洋品雑貨店も営んでいましたが、その収入では返済を賄えなかったといいます。

Q.借金のあるビルを引き継ぐと聞いたときは、どう思いましたか?
(眞智子さん)
「すごいショックでした」
(田中さん)
「ショックやし、(東京での仕事を)辞めんといてくれって言われた」

 69歳で退職した田中さん。3000万円ほどあった退職金を全て借金の返済に充てましたが、それでも完済には遠く及ばなかったといいます。

Q.年金30万円のうち、どれぐらいを返済に充てているんですか?
(田中さん)
「30万円でしょ」
(眞智子さん)
「しっかり計算して、銀行もいくつも当たって」
(田中さん)
「金利を下げる」
(田中さん)
「例えば、(テナントから)70万円もらっても70万円出る。100万円もらっても100万円出るっていうような感覚ですね。だから(テナント収入は)あてにしていません」

■完済までは15年― 生きがいは、妻・眞智子さんの助言で始めたマラソン「目指すは全国1位や」

 現在は、年金とビル管理の収入のうち、生活費と会社の経費を残し、他は全て借金の返済に充てているという田中さん。完済までには、あと15年かかるといいます。

(田中さん)
「とにかく私は96歳まで生きたい。苦労苦労(96・96)の一生やと」

 決して下を向くことなく、1日1日を懸命に生きている田中さんですが、スタッフの目を引いたのは、居間のいたるところに飾ってある賞状やメダルでした。

(田中さん)
「金メダルばっかりです。26個あります。1500m、800m、3000m、5000m、10000m、全て網羅」

 実は田中さんは、なんと80歳にして現役のマラソンランナーなのです!妻・眞智子さんの助言がきっかけでマラソンを始めると、その才能が開花して、これまでいくつもの大会で優勝をおさめ、今も「シニアの部・大阪府代表」として元気に全国大会にも出場しているのです。

 試しに、ディレクターや野球経験者のカメラマンも一緒に走ってみたところ、まったく追いつけず。さすがは大阪府代表、年齢を感じさせない見事な走りです。

 週に3日、10キロのコースを走っているという田中さん。借金に追われる苦しい日々の中、マラソンは“人生の大きな励み”となっています。

(田中さん)
「全国では、4位が最高です」

Q.目指すは?
(田中さん)
「1位や」

■待望の年金受給日に思うこと―「私が元気なのは母親のおかげ」

 そんな田中さんにも、待望の受給日がやってきました。

Q.入っていましたか?
(田中さん)
「入っていました」

 1つ目の金融機関で下ろしたのは、25万円。さらに、2軒目3軒目と3つの金融機関を回って、年金2か月分・合計60万円を下ろし終えました。下ろしたお札を見てみると、7月から発行が開始された新紙幣も入っていました。

Q.今日は走らないんですか?
(田中さん)
「今日は休みの日」

 年金が入っても贅沢はせず、今回もビルの借金返済に充てるといいます。

(田中さん)
「80を超えるのは、大変なことなんです。だから、私が元気でこうやって走っているのは、母親のおかげかなと。母親が見守って、『借金返せ、借金返せ』って。だから、死なれへんのです」

(「情報ライブミヤネ屋」2024年8月19日放送)