【速報】大阪高検が“判決不服”で最高裁に上告 2歳の義理の娘死亡、高裁で父親に逆転無罪 父親「失敗を覆い隠すための上告」
2歳の義理の娘の頭に衝撃を加え死亡させた罪などに問われ、二審で逆転無罪となった父親について、大阪高検が12日、判決を不服として最高裁に上告しました。
この上告を受け、父親が大阪市内で会見を行い「検察は自分たちの失敗を覆い隠すために上告をしている。検察は一人の人間の人生を何だと思っているのでしょうか」と訴えました。また弁護団は「今西さんを6年以上もの長期にわたり被疑者・被告人の立場に置き続けた検察官はこの苦しみをさらに甘受させ続けようというのです。今西さんが虐待していた事実をうかがわせる事情も一切ありません。弁護団は激しい怒りを持って上告申立に強く抗議します。今西さんは無実です」と訴えました。
今西貴大被告(35)は2017年、大阪市東淀川区のマンションで、義理の娘・希愛ちゃん(当時2)の頭に何らかの方法で衝撃を加え死亡させた罪、わいせつな行為をしてケガをさせた罪、希愛ちゃんが亡くなる前に左脚を骨折させた罪に問われていました。
大阪地裁で行われた一審で、今西被告は「虐待したことは一度もない」と起訴内容を否認し、弁護側は「感染症などで死亡した可能性を否定できない」などとしていずれの罪についても無罪を主張していました。
一方、検察側は「揺さぶりを含め何らかの暴行が原因で死亡した」などと指摘。大阪地裁は2021年、傷害罪については「暴行以外の原因で生じた合理的な疑いが残る」として無罪とした一方、傷害致死と強制わいせつ致傷の罪については懲役12年の実刑判決を言い渡し、今西被告側と検察側の双方が控訴しました。
一審で13人の専門医が証言台に立ちましたが、大阪高裁で行われた控訴審では、さらに8人の医師が証人として出廷。2024年5月に結審し、7月には弁護団の11回目の保釈請求に応じた大阪高裁が“異例”の保釈を認めました。勾留期間は5年半に及びました。
11月28日の判決で大阪高裁は、傷害致死の罪について「被害者の身体表面には外傷の存在を示す痕跡がなく、暴行の有無は明らかではない。被告が身体的虐待を加えていたことを示す事情も見いだせない」と指摘。強制わいせつ致傷の罪についても「自然排便によってできた傷ではないからといって、検察が科学的根拠を示さず異物挿入だとしたにすぎない」とした上で「一審判決は不道理であり是認できない」として一審の判決を破棄し、今西被告に逆転で無罪を言い渡しました。検察側が控訴していた傷害罪についても一審の無罪判決を支持し、今西被告は全面無罪とされました。
今西被告は判決の直後、「希愛と僕とは本当の親子として過ごしていました。裁判を通じて警察・検察などが見落としていた『心筋炎』など希愛が亡くなった本当の原因を見つけることができました。今は真実が分かったことに安堵しています。判決の主文は『無罪』だったが、僕は『無実』です。独房で過ごした5年半、挫けずに闘い続けて良かったと実感しています」と胸の内を明かしました。
その後、弁護団が大阪高検に対し最高裁に上告しないよう申し入れたり、支援者が署名活動を行ったりしていました。今西被告は12月5日、無罪が確定しない状況について「無罪判決が出てホッとはしましたが、一方で自分はまだ被告人なんだという不安も感じています。そんな時、身体拘束されていた5年半の記憶もよみがえって、まだ僕の心は見えない手錠がつながれたままなのだと感じてしまいます。早く刑事手続から解放してください」と心境を語っていました。
12日、大阪高検が上告したことを受け、今西被告は「警察や検察が事件をでっちあげたせいで何もかもがめちゃくちゃです。5年半も無実の人間を身体拘束していて、することは上告なのでしょうか。完全無罪が出た今、検察がするべきは謝罪と検証です。まだ感情が入り混じっていて、上手く気持ちを言葉にできません。被告として暮らすのは、すごく生きづらいです」と、怒りと困惑の言葉を口にしていました。
一方、大阪高検の小橋常和次席検事は「被告人今西貴大に対する傷害致死・強制わいせつ致傷・傷害事件について、上告審で適正な判決を求めるため、本日、上告の申立てをした」とコメントしています。