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“統一教会”問題は「開けてはならなかった“パンドラの箱”」 今年最も見られたニュースは?

2022年12月10日 14:38
“統一教会”問題は「開けてはならなかった“パンドラの箱”」 今年最も見られたニュースは?
1位:“統一教会”韓国・元幹部が謝罪

今年も残りわずか。様々なニュースがありましたが、7月8日、日本中を震撼させたのが、奈良県で選挙の応援演説をしていた安倍元首相が山上徹也容疑者に銃で撃たれた事件です。

この事件を発端としたいわゆる“統一教会”問題は、政治家との関係や2世信者など様々な問題を浮き彫りにし、連日、大きく取り上げられました。

このニュースについて、今年、日本テレビがインターネットに配信した記事の中で多く読まれた記事はこちらでした。 (※11月14日時点、日付は記事配信日)

1位は、いわゆる“統一教会”の韓国にある本部の元幹部が、安倍元首相の殺害事件について謝罪し、現在の教団は「正道から外れている」などと批判したという記事です。

総裁に次ぐ幹部だった元会長は、教団内部の争いによって日本の“統一教会”を、献金を作り出す「経済部隊」から正常な組織に変える試みが暗礁に乗り上げたなどと主張しましたが、具体的なカネの流れなどについての発言はありませんでした。

2位・3位・4位には“統一教会”と政治の関係についての記事がランクイン。

これについて日本テレビ政治部の前野全範記者は「特に自民党にとっては開けてはならなかった“パンドラの箱”で、ふたが開いた今、次から次へと問題が明らかになった」と指摘。さらに「岸田首相や自民党執行部が問題を軽視したことも、火に油を注ぐ形になった。政治と“統一教会”がひそかに結びついていたという事実は、有権者に驚きと同時に“政治に裏切られた”という感情を呼び起こし、高い関心につながった」と分析します。

また、今後については「岸田政権は被害者救済法案を成立させた上で、“統一教会”会に対して解散命令の請求も視野に入れた調査に乗り出しています。一方、いまだに教団との関係について説明責任を果たさないままの政治家も数多くいます。来年春には統一地方選挙が予定されていて、次は地方議員と教団との関係が焦点となります」と指摘しました。

そして、5位は「2世信者」をめぐる記事です。

両親が合同結婚式に参加して生まれた元2世信者は「小学生くらいの時、文鮮明氏の血が入っているとされる赤ワインを教団に飲まされていた。子供ながらに飲むお酒はまずくて、気持ち悪かった」と明かし、母親からは「『あなたは神の子』などと言われ、抜けたくても抜けられなかった」と苦悩を語りました。

こうした2世信者への取材を続けているのが、読売テレビの宗像真宏記者です。

「『絶対にその宗教をなくしてほしい』という声がある一方で『この宗教がなければ自分という存在は生まれなかった』と複雑な心境を話す2世もいる」と話します。

「こうした対極的な意見が出るということが、この宗教2世の問題の複雑さを表しているのだと思っている。宗教によって『カネ』『恋愛の自由』『体罰』などその中身については違うが、前提にあるのは『親から信仰を強要された』という点を訴えているということだ。本人に信仰心がないにもかかわらず強制的に信仰を強要させる点は、大きな問題だと捉えている」

12月14日(水)放送の日本テレビの特番「有働由美子とフカボリ記者」でも、2世信者が家族や関係者に自分の身元を知られないように宗像記者が慎重に取材を重ねる様子が放送されます。

宗像記者は2世信者が声を上げ続ける理由について、「2世たちからは『事件をきっかけに声をあげるようになったのではない。事件が起きる前からこの問題について当事者として発信してきた』と言われた。安倍元首相の事件をきっかけに、より多くの2世が声を上げるようになったのは事実だと思うが、事件より前からこの問題について発信してきた当事者がいるということを、我々は忘れてはいけないと思っている」と話します。

また、今後の課題として宗像記者は「今の救済法案は基本的に『カネ』の部分での救済になっている。2世からは『政府が想定する被害と実際の被害者との間で乖離(かいり)がある』と厳しい意見が出されるなど、本当にこれで被害者が救済されるのか不透明である」と指摘。さらに「2世はこの救済法案とは別に、親から受ける信仰の強要を『宗教的虐待』として扱うよう児童虐待防止法の改正を求めている。この宗教2世の問題は家庭も大きく関与しているので、この点も政府には検討していただきたいと思う」と話しています。

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