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歌舞伎俳優・中村鶴松、セリフの多さに恐怖

2021年7月16日 16:31
歌舞伎俳優・中村鶴松、セリフの多さに恐怖

歌舞伎俳優の中村鶴松さん(26)が、歌舞伎座『八月花形歌舞伎』(8月3日初日)第二部「真景累ヶ淵」で初役を勤める心境を語ってくれました。

幕末から明治にかけて活躍した落語家・三遊亭円朝さんの人情噺「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」を元にした怪談話で、鶴松さんは初めて新吉役を勤めます。出演を聞いた時の心境を「最初はワクワクでしかなかったんですよ。本当に出来る、めちゃめちゃうれしかったんですけど、日を追うごとにだんだんそれに恐怖が打ち勝ってくるんですよ。できるだけプレッシャーに感じないようにしなければいけないなと思ってますけども。絶対生涯に忘れられない役になる、全身全霊死ぬ気で勤めたいと思っています」と明かしてくれました。

鶴松さん演じる新吉はセリフも多く、主役といっていいほどの大役。「セリフも台本と全く違うんですよ。全部アレンジで付け加えたりしているんですよ、例えば“あー”っていう言葉。台本には無いですし、その“あー”は自然に出さないといけない。だから基本通りなのは多分3割くらいじゃないですか、下手したら、あとは全部(7割は)掛け合い。何が返ってくるか分からない。だから本当に芝居ってキャッチボールなんですけど、そこがうまく出来ないと何もなりたたないものなので、怖いです。正解がないのでこのお芝居は、だからどんなボールを投げてもいいので、それをしっかり受け止めて、投げ返さなければいけない、それはもう恐怖ですよ」と語りました。

そして見どころについて「何も考えずお客様は楽しんでもらえると思います。ストーリーも非常にわかりやすいですし、怪談話で夏にあっているものなので、言葉も分かりやすいし、肩の力を抜いて見ていただけるものだと思います。お客様も新吉の立場になって同じような目線で怖がっていただけると面白いんじゃないかなと思います」と話してくれました。


※中村鶴松さんは、5歳の時清水大希の名で初舞台を踏み、10歳で一般家庭から十八世中村勘三郎の部屋子となり、二代目中村鶴松を名乗る。勘三郎さんから才能を見出され“第3の倅(せがれ)”と呼ばれる。