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デマと気づかず拡散…1位は「直接会話で」

2021年9月21日 22:25
デマと気づかず拡散…1位は「直接会話で」

「コロナ」や「政治」で問題となったフェイクニュースに関する国際大学の研究チームの調査で、デマだと気づかず拡散する手段として最も多かったのは、「身近な人へ直接話した」ことだとわかりました。

■偽情報と気づかず拡散…1位は「身近な人に直接話した」

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(通称GLOCOM)の研究チームは、実際に去年の1月~7月に拡散した「新型コロナウイルスは26~27度のお湯を飲むと予防できる」「深く息を吸って10秒我慢できれば、感染していない」などのフェイクニュースについて、約6000人を対象にアンケートを行いました。

調査結果によりますと、新型コロナ関連のフェイクニュースの接触率は45.2%と半数近くに上り、10代が最も高いもののあらゆる年代が接触していました。また、半数以上の人が1つ以上のフェイクニュースに接触していました。こうしたフェイクニュースに接触した人のうち、およそ4人に1人(26.7%)が、偽情報と気づかずに拡散をしていました。

拡散した手段として最も多いのは「家族・友人・知り合いに直接話した」(10.3%)で、次いで「メッセージアプリで家族・友人・知り合い・グループにいる人などに伝えた」(5.9%)でした。身近な人への拡散が多いという結果となりました。Twitterのリツイートによる拡散は3位(4.3%)でした。

調査を行った山口真一国際大学GLOCOM准教授は、「心理学の研究では、人は専門家からの情報よりも、交流の多い身近な人からの情報の方を信用しやすいという結果が出ています。このような傾向は私たちの研究でも見られていて、家族・友人などとの直接の会話への信頼度は、マスメディアへの信頼度に匹敵するものでした。」と分析しています。

■大量拡散するのは1%以下の“スーパースプレッダー”

フェイクニュースが大量拡散する仕方について調査では、多数のフォロワーを持っている、いわゆる“スーパースプレッダー”の存在が確認されました。

スーパースプレッダーは全体の1%以下で、拡散数の約95%を占めていました。複数のフェイクニュースを偽情報と気づかずに拡散する行動が見られ、ごく一部の拡散者がフェイクニュースの拡散の大部分を広めていました。

一方で“スーパースプレッダー”はソーシャルメディアからの訂正情報で考えを変えやすい傾向にあり、意固地でないことが確認されたということです。

調査結果を受けて山口准教授は、「どのような情報でもすぐにうのみにするのではなく、自分で必ず考え、他の情報源に当たるなどで真偽を確かめることが大切です。そしてもし真偽が分からなかった場合は、自分が偽情報の拡散者にならないために、他の人に広めないように心がけましょう。」と話しています。

(アンケートは去年9月に15歳~69歳の男女、約6000人を対象に実施)

画像提供:国際大学GLOCOM