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“感染リスク”調査 会食の場所や人数で差

2021年10月7日 19:10
“感染リスク”調査 会食の場所や人数で差

7日、東京都は、新型コロナウイルスの感染状況と医療提供体制の警戒レベルをそれぞれ1段階引き下げました。また、厚労省の専門家会議では、どのような行動が感染リスクを高めるかということについて最新の調査結果も公表されたので、詳しく説明します。

■東京“警戒レベル”さらに引き下げ 専門家には危機感も

まずは最新の感染状況ですが、6日、東京で新たに確認された感染者は149人で、5日連続で200人を下回ってます。減少傾向が続いていますが、都の担当者は、「宣言解除後に感染した人の報告が増えてくるのは、来週以降なので注意が必要」としていて、気が抜けない状況が続いています。

東京都は7日、感染状況を分析するモニタリング会議を開きました。感染状況については、9月30日に去年11月から続いていた最高レベルの「再拡大の危険性高い」という警戒レベルが引き下げられていますが、7日、さらにひとつ下の「改善傾向にあるが注意が必要」に引き下げられました。また、医療提供体制の警戒レベルについては、去年12月17日に最高レベルの「通常の医療が大きく制限」となっていましたが、約10か月ぶりにひとつ下の「通常の医療が一部制限」に引き下げられました。

宣言解除後には、夜間の繁華街の人流が急増していると報告されていることなどから、専門家は、危機感も示しています

国立国際医療研究センター 大曲貴夫医師
「新規の陽性者数は、昨年の同時期と近い値であります。昨年末の第3波と同じ経過をたどらないように、今のうちにこの新型コロナウイルスをさらに抑え込んで、新規の陽性者数を減らしておく必要がございます」

■今後の行動制限どこまで…?全国初“実証実験”を実施

感染者が減少傾向にある中、ワクチン接種がある程度行き渡ってからの行動制限の緩和に向けて、6日、全国で初めて実証実験が行われました。

Jリーグの試合会場の入り口で、観客が見せていたのが「ワクチンの接種記録」。こうした接種記録や陰性証明を提示することで観客数の制限を緩和しようというものです。

これは、政府の「ワクチン・検査パッケージ」を活用した実証実験で、観客数の上限は1万人ですが、6日はおよそ1800人を上乗せして、「ワクチン・検査パッケージ」のチケットを購入した人を対象に、実験が行われました。

試合中はマスクの着用率などを分析し、観客には後日、アンケートを実施して、今後の人数制限緩和のために使うということです。

また、観光庁も実証実験の対象として旅行会社11社が実施するツアー38件を選定しました。すでに販売されている今週末から来月前半にかけて行われるツアーを対象に、「ワクチンを2回接種した人」か、「事前にPCR検査を受けた人」が参加するものです。

東京から近郊に行くものや、東京から北海道や沖縄に行くものなど、様々なツアーが対象となります。交通手段はバスや鉄道、そして飛行機などが対象です。

それぞれのツアーの運用を確認し、実験に参加した旅行事業者と旅行客にアンケートを実施するということです。旅行客には、「安心感はあったか」、「なぜこのツアーを選んだか」、「2週間後に発熱などの症状が出たか」などを聞き、ガイドラインの作成に役立てたいということです。

■“感染リスク高い行動”最新調査「場所・人数・時間」で違いは

こうした中、私たちの日常生活の中で、どのような行動が感染リスクが高いかを調べた最新の調査結果が示されています。国立感染症研究所が都内5か所の医療機関の発熱外来を受診した人のうち、「ワクチン接種歴がない」750人あまりを調べた解析結果が出ました。

まず、会食・飲み会の場所によるリスクの違いについて、会食にも飲み会にも参加していない人を1とした場合、「レストランや居酒屋などで会食」した場合は感染リスクが1.55倍、「自宅で同居人以外と会食・飲み会」した場合は2.1倍、「路上や公園で会食」した場合は2.34倍という結果でした。レストランなどでの会食のリスクは高いものの、自宅でのリスクも高いことがわかりました。

レストランや居酒屋よりも、路上や公園の方がリスクが高いのは意外な結果かもしれませんが、今回の調査では、なぜそういう結果になったのかまでは分析されていません。ただ、専門家からは「公園や路上での飲み会はマスクを外す機会が多く、外したまま会話することなどによって感染リスクが高まる」と、繰り返し指摘されています。

次に、会食時の「人数」と「滞在時間」でみると、会食しなかった場合を1とすると、「最大同席人数が5人未満」の場合の感染リスクは1.4倍、「同席人数が5人以上」だと2.16倍になります。「滞在時間が2時間未満」だと1倍、「2時間以上」だと1.87倍となります。やはり、「同席人数が5人以上」、「滞在時間2時間以上」はいずれも感染リスクが高まる結果になりました。

会食時の「マスク着用状況」でみると、「食べる時以外は着用」だと0.98倍、「食事などが出されたタイミングで外した」場合は1.38倍、「着用なし」あるいは「席についた段階で外した」場合は3.92倍となります。つまり、食事や飲み物を口に運ぶ時以外は、お互いにマスクを着用する、あるいは食事中は会話をしない、などの重要性が改めて示された形となりました。

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今回の調査結果により、これまで指摘されてきたことがエビデンスとして示されたことになります。これらの結果を参考に、飲食店や飲酒を一律に規制するのではなく、リスクを減らしながら飲食店を利用するにはどうしたらいいかなど、より現実的な対策に役立ててほしいと思います。

(2021年10月7日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)