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【解説】 「レールガン」が実用化?日本の「ミサイル防衛網」研究・開発の最前線

2022年4月12日 21:10
【解説】 「レールガン」が実用化?日本の「ミサイル防衛網」研究・開発の最前線
次世代装備「レールガン」の試作品

世界で緊張が高まる中、日本の国防は新たな局面に立たされています。迎撃が難しいと言われる「極超音速ミサイル」の開発も他国で進む中、政府がいま研究に力を入れているものの一つが、SF作品に登場している「レールガン」です。日本テレビ政治部・防衛省担当の増田記者が解説します。

■迎撃が難しい「極超音速ミサイル」 その特徴は

今、日本のミサイル防衛網では迎撃が難しいとされるミサイルが出てきています。その一つが「極超音速ミサイル」。マッハ5以上で飛翔するミサイルで、中国、ロシア、アメリカなども開発しています。先日ウクライナに対してロシアが使用し、話題になりました。

このミサイルは、速さ以外に「飛び方」も特徴的だと増田記者は解説します。

「これまでの弾道ミサイルは放物線を描く軌道で目標に到達していましたが、このミサイルは低い高度で飛ぶだけでなく、上下左右に不規則に動くことができると言われ、探知や迎撃が難しいとされています」

■「レールガン」が実用化?防衛技術の最前線

それに対して日本は、どう対処しようとしているのでしょうか。政府が今、研究に力を入れているものの一つが「レールガン」だといいます。

「レールガンは様々なSF作品に登場しているものですが、実際に実用化を目指して研究・開発が進められています。今までの迎撃ミサイルは砲弾を火薬で飛ばしていましたが、このレールガンは一切火薬を使わずに、電磁力を利用して飛ばす仕組みになっています」

増田記者は、防衛技術の次世代装備「レールガン」の試作品を取材しました。重さは約8トン、砲身の長さは6mで、弾丸はダーツの矢のような形をしています。その発射の実験では、火薬を用いた従来砲よりも早い秒速2297メートル(約マッハ7)を記録しました。

ただ、まだ研究・開発段階のため、課題も多いといいます。発射時に大きな電力が必要になることから、大容量の電源装置を小型化する必要などがあります。レールガンには65億円の予算が付けられており、防衛省は今後7年間にわたり、実用化に向けて研究・開発を加速させていく考えです。

■撃たせないため“外交努力”を

万が一ミサイルがきてしまった場合、我々はどうしたらいいのでしょうか。増田記者は迎撃体制を構築する必要性に触れながらも、前段階で食い止める大切さを訴えます。

「(ミサイル迎撃のための)十分な体制を構築していく必要があるのはもちろんですが、そもそも北朝鮮などの諸外国にミサイルを撃たせないために、どのような外交努力ができるか。そこが重要なポイントで、きちんと見ていかないといけないと思います」

(2022年4月9日放送「有働由美子とフカボリ記者」より)

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