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家族を失った悲しみを乗り越えて… 3年前に本格的に絵を描き始めた52歳女性の作品がアメリカニューヨークの公募展に展示 鳥取県大山町

2024年2月3日 9:25
家族を失った悲しみを乗り越えて… 3年前に本格的に絵を描き始めた52歳女性の作品がアメリカニューヨークの公募展に展示 鳥取県大山町

鳥取県大山町の52歳の女性が手がけた絵画作品が、近くアメリカニューヨークの公募展に展示されることになりました。その注目の作品とはー。

病床で苦しんでいた母親が、棺の中でほんの少し笑顔になった瞬間を描いた作品。タイトルは「幸せの棺」。29年前に亡くなった母親、その後亡くなった父親も一緒に描かれています。そして、火葬場で焼かれた両親が煙と一緒に天に昇っていく場面も表現したそうです。

絵を手がけた主婦 福留信子さん
「(両親が亡くなり)苦しくてつらかったが、棺の中ではきれいな顔をして微笑んでいる。もしかして私たち見送る方、これから生きていく側への”最後のギフト”かなと」

鳥取県大山町在住の福留信子さん52歳。福留さんが手がけたのは、縦2メートル23センチ、横66センチという大作です。この作品が、このほど日本人の現代絵画を世界に紹介する新人発掘の公募展に入賞。2月15日から21日までアメリカ・ニューヨークにあるギャラリーで展示し、アートパフォーマンスも行うというのです。そして福留さんは、タイムズスクエアの大型広告で「世界のアーテイスト100人」の1人としても紹介されることになっています。

福留信子さん
「普通”死”というテーマは、暗い色とか悲しめのイメージの色合いになってしまうのが多いですが、私はカラフルな色、元気が出るポップな色使いが好きなので世界の人に見てほしい」

元々絵を描くのが大好きだという福留さん。実は本格的に描き始めたのはわずか3年前。仕事の広報のイラスト描きがきっかけで受賞も今回が初めてだといいます。福留さんが手がける絵画のテーマは「微笑み」。指と専用のオイルパステルを使って人への感謝の気持ちも、大切に生きているぬくもりを分かち合えるよう、優しい思いを込めて描いています。

信子さんは現在、ご主人と一緒に自宅で獣害用電気柵の販売業を営んでいます。子どもも5人いますが、子育ては一段落しました。家では台所のテーブルをアトリエ代わりにして制作しています。

福留信子さんの夫・克信さん
「(ニューヨーク展は)びっくりはしたけど、まさかこんなことになるとは。(妻には)自分のやりたいようにのびのびと創作してもらえたらいいと思います」

52歳で、世界へ向けてアーティストデビュー。福留さんにとって今回のニューヨーク展出品は、第二の人生の扉を開く新たな挑戦だといいます。

福留信子さん
「この年になって(扉を)開けてみるという勇気、これを見ていただいた人に”よしっ元気もらえたよ”と言っててもらえるような人生になりたい」

これからも生涯にわたって”微笑み”の絵を手がけていきたいという福留さん。ニューヨーク展を開催した帰国後の4月下旬、地元大山町内のお寺で凱旋の展示会も開催したいと意欲を見せています。