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篠山紀信氏“畏怖と畏敬の気持ち”で対峙

2011年11月21日 23:50
篠山紀信氏“畏怖と畏敬の気持ち”で対峙

 写真家の篠山紀信氏(70)が21日、東京・神宮前の「Audi Forum Tokyo」で写真展「ATOKATA」(22日〜12月15日)のオープニングプレビューに出席した。

 東日本大震災の被災地で撮影した同名の写真集発売を記念し、写真集に収めた写真の一部(31点)を展示。

 地震から50日後の5月上旬に初めて被災地に足を踏み入れた。さらに5月下旬、8月の計3回にわたり、宮城県を中心に撮影。「(目にした光景は)想像を絶するものだった。地球の重力がなくなったように感じた。船は陸に上がっているし、車は木に引っかかっているし、家はねじれているし。すごいことが起こったなと思いました」と振り返り、「でもしばらく撮っていくうちに、これは自然が自らの自然を破壊して、新しい自然を作ったんだなと感じた。現代美術家が時間をかけて作るオブジェのような作品を自然が一瞬にして作った。破壊もするけど創造もする。自然が持つ破壊する力の怖さと、物を創ることの偉大さ。畏怖と畏敬の気持ちを持って現実と対峙すると目が透明になって、心もピュアになってみると、こういう風に見えてくる」と作品に込めた思いを語った。

 「(震災を)忘れてほしくないですね。悲惨な現実はあるけれど、大きな負の力が襲ってきたときに、それをもう一度自分の中に入れて、ろ過して、ちん静させて、プラスのエネルギーにする。そういう力を持ってもらいたい。ただ打ちのめされているだけじゃなくて」と熱くメッセージ。「1人でも多くの人に見てもらって、いろんなことを感じてもらいたい」と語った。