坂本龍一さん 36年ぶり2度目の受賞なるかに注目 『Opus』がグラミー賞候補に
■最後のピアノ・ソロ・コンサート作品『Opus』がノミネート
グラミー賞の“最優秀ニューエイジ、アンビエント、チャント・アルバム賞”にノミネートされた『Opus』は、坂本さん最後のピアノ・ソロ・コンサート作品。映画『戦場のメリークリスマス』のテーマ曲『Merry Christmas Mr. Lawrence』や『The Last Emperor』、そして最後のアルバム『12』の収録曲、初めてピアノ・ソロで演奏されたYellow Magic Orchestra時代の『Tong Poo』まで、坂本さん自らが選曲した20曲が収録された最初で最後の長編コンサート映画の映像作品です。
坂本さんが2年以上となる闘病生活を続けていた中、“日本で一番いいスタジオ”と断言したという音楽スタジオで、愛用のグランドピアノのみで、最後の力を振り絞り、2022年9月に8日間かけて収録されています。
■常に革新的なサウンドを追求し続けた、71年の生涯
デビュー以降“教授”の愛称で親しまれ、グラミー賞やアカデミー賞などさまざまな賞を獲得した世界的な音楽家として、多くのアーティストに影響を与え続けた坂本さん。
1978年に『千のナイフ』でソロデビューを果たし、同年に高橋幸宏さん、細野晴臣さんと共に『YELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)』を結成し、1983年に散開(解散)。その後も、ソロアルバムの発表やアーティストとのコラボなど多方面で活躍。さらに、自身も出演した映画『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』など、様々な映画作品も手がけ、映画音楽作曲家としてアカデミー賞やグラミー賞などを獲得しました。
また、2013年に山口情報芸術センター10周年事業のアーティスティック・ディレクター、2014年に札幌国際芸術祭2014のゲストディレクターに就任するなど、アート界での活動も積極的に行っていました。
音楽業界やアート界など、広く活躍していた坂本さんですが、2014年に中咽頭がんであることが判明。約6年を経て寛解しましたが、2021年に新たに直腸がんを公表しました。それでも、闘病生活を続けながら演奏会への参加や、ソロコンサート、アルバム制作など、亡くなる直前まで活動を続けていました。
そして、亡くなった後も世界中から愛され、ジャンルを問わず功績を残した軌跡が語り続けられている坂本さん。最後のピアノ・ソロ・コンサート作品『Opus』が、1989年の『ラストエンペラー』以来、36年ぶり2度目のグラミー賞受賞となるかが注目されています。