仲代達矢「いい作品と監督に巡り会えた」
俳優の仲代達矢(79)が24日、東京・東銀座の東劇で開催中の「木下惠介生誕100年祭」でトークショーを行った。
木下監督は「二十四の瞳」や「太陽とバラ」など多彩な方向性を内包した49の作品群を残したが、仲代はその中の1本「永遠の人」で主演した。
客席後方で監督の作品を観賞した仲代は「50年前の作品ですが、時空を超えてやっぱりすてきな作品だなと思います」としみじみ。
「永遠の人」は29歳の仲代が「憎たらしい役をやってくれ」と監督に演技指導を受けて挑んだもので、「いい作品といい監督に巡り会えた幸運の20代だったとつくづく思う」「当時の映画スターはいい役しかやらなかった。悪い役はやらないから、それを私がやった」と俳優人生を振り返った。
黒澤明監督にも重用され、巨匠の手法を目の当たりにした。
「古きよき日本映画の時代の両巨頭だったと思います」と比肩する2人をたたえると同時に、黒澤監督が木下監督の前でよく涙を流していたという隠れたエピソードも披露した。