大泉逸郎、新曲で福島県双葉町の情景伝える
ヒット曲「孫」(1999年)で知られる演歌歌手の大泉逸郎(73)が22日、埼玉・加須市の交流カフェ「双葉せんだん広場」で新曲「爺(じーじ)の海」の完成お披露目会を開催した。
東日本大震災の際に福島県双葉町で被災し、加須市で避難生活を送っていた渡部晃さん(68)が、故郷の海を思って作詞。2012年5月に「多くの被災者に届くように曲をつけてもらいたい」と大泉に詞を送り、同曲が誕生した。
大泉の妻・伸子さんも福島県南相馬の出身で、大泉自身も同県には何度も足を運んでいる。楽曲の舞台になった場所も津波に襲われたが、大泉は「双葉町の景色、情景が歌の中には永遠に生きている。この歌でなんとか盛り上がって、被災した人の心の支えになれば」と期待し、「何事も風化して忘れ去られるのが一番怖いこと。歌が広まれば『ああいう場所があった』と思い出してくれる人も増える」と歌に込めた思いを語った。
渡部さんもこの日、お披露目会に駆けつけた。現在、加須に居を構えて新たな一歩を踏み出しており、「(作詞した)あのころは故郷のことばかりを考えていた。最近は応援歌として聞いています」と、しみじみ。
大泉は、渡部さんら双葉町から避難した人や地元の人々約100人の前で、同曲や「孫」など全7曲を披露。自身の孫についても「もう大学3年生になりました。今の子は背が高いですね。誰に似たのかは知らないが、かっこいいですよ」と報告し、笑いを誘った。