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『ねずみくんのチョッキ』の作者・なかえよしを 84歳 「目の前のことをやっていたら50年」

2024年11月1日 8:10
『ねずみくんのチョッキ』の作者・なかえよしを 84歳 「目の前のことをやっていたら50年」
『ねずみくんのチョッキ』の作者・なかえよしをさんにインタビュー
1974年に刊行された絵本『ねずみくんのチョッキ』が、今年50周年を迎えました。作者のなかえよしをさん(84)に『ねずみくん』と歩んだ50年を振り返っていただきました。

■絵本『ねずみくんのチョッキ』とは

『ねずみくんのチョッキ』は、作家のなかえさんと、妻で画家の上野紀子さんの共同作業によって生まれました。主人公・ねずみくんの赤いチョッキをめぐり、ねずみくんと動物の仲間たちとのやりとりを描く物語です。

今年5月には『ねずみくんの絵本』シリーズ41作目となる『ねずみくんからのおくりもの』が刊行されました。シリーズ累計発行部数500万部を超える(出版社発表)ロングセラーシリーズとなっています。

■誕生から50年 「ほとんど誰もが経験するようなことでお話が作れたら」

――『ねずみくんの絵本』シリーズがここまで長く続くと思いましたか?

そんなことないです。目の前のことをやっていたら50年たっちゃったっていう感じですかね。“大切なものは目に見えない”と“思いやり”。それだけでお話が作れないかと思って、それだけなんですよ。この枠の中で、身のまわりで起こること、ほとんど誰もが経験するようなことでお話が作れたらいいなと思って。

――時代や子どもたちが得られる情報量が変わってきたなかで、50年変わらず大切にしている思いを教えてください。

見えるものは変わるんですよ、物質だから。でも、見えない世界というのは何だろうと思ったときに、気持ちですからね。変わらない気持ちではいられるわけです、自分で。見えないものを見るっていうのは想像力だけの話なんですよ。目では見えない、でも感じるっていうのはすごく大切なことだと思うんですね。

■現在84歳 『ねずみくん』はいつまで作り続ける?

――今後、『ねずみくん』はいつまで作り続ける予定ですか?

ボケてもいい年ですからね。そうすると、考えたって思いつかないだろうし。お話としてはあと2、3話考えてはいるんですけどもね。(刊行するためには)2、3年かかるわけですから、あと3年生きるのも大変だなぁと思って。元気なうちは、なるべく『ねずみくん』作れたらいいなと思いますけどね。

【なかえよしを プロフィル】
1940年7月27日兵庫県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、広告会社のデザイナーを経て絵本作家に。『ねずみくんのチョッキ』をはじめとする、『ねずみくんの絵本』シリーズの作家。なかえさんがラフを書きながら展開を決め、絵は妻の上野紀子さんが描くという二人三脚で絵本づくりを進める。2005年に巖谷小波文芸賞を受賞。2020年、日本児童文芸家協会選定の児童文化功労賞を受賞。

最終更新日:2024年11月1日 8:10