男性アナのメイクやネイル「違和感なく受け取ってもらえる」時代へ──直川アナがだれかの“生きやすさ”のために「やめたこと」と「はじめたこと」
直川アナのSNSなどに集まった「だれかの生きやすさを考えてやめたこと、はじめたこと」をもとにトークします。
■だれかの生きやすさを考えて「やめたこと」と「はじめたこと」
「『だれかの生きやすさを考えてやめたこと、はじめたこと』というテーマですが、直川アナは何かやめたこと、ありますか?」
福島中央テレビ 直川貴博アナウンサー
「私はアナウンサーとしてだけでなく、リポーターも、ディレクターも担当するロケに行っているんですけど」
白川プロデューサー
「原稿やテロップの発注とかまで全部自分でやっているんですよね」
直川アナ
「そのとき、テロップの色に気をつけています。男性だからといって青系、女性だからといって赤系は使わないようにするとか。テレビ局員のエゴなのかなと思うぐらいの小さなことですけど、そこにも自分のメッセージを入れています」
白川プロデューサー
「『news zero』では、必ずしも女性=赤、男性=青、という色分けが絶対NGではないですけど、気をつけないと、この色分けがいろんなことで再生産されていくから、やめていこうとなっています。それ以外にもかなり早い段階で女性俳優のことを『女優』と言うのをやめました」
直川アナ
「職業に男性性、女性性を表現しないということですね」
■「何も悪いことでも間違っていることでもない 」子どもの“好き”を肯定
白川プロデューサー
「まず最初の声です」
──娘が2人いるのですが、上の子(2歳)はアンパンマンの中ではバイキンマンやダダンダン、 千と千尋ではカオナシなどサブキャラが大好きでグッズも主要キャラよりもサブキャラの物を欲しがります。こっち(主要キャラ)じゃなくていいの?!と言われがちですが、その選択をした我が子の感性を否定する事になるし、何も悪いことでも間違っていることでもないので、我が子が選んだものは、いいじゃん!可愛いね!と肯定しています。
白川プロデューサー
「お子さんの生きやすさを考えて、『メインキャラの方が良い』と言うことをやめている方です。直川さんは小さい頃どうでしたか?」
直川アナ
「私は戦隊ものでも女の子が主役の“セーラームーン”とかが好きでした。欲しい物もそれに付随してくるから、女の子の友だちが持っている物が欲しくなるんですよね」
白川プロデューサー
「変身ベルトではなく、変身ステッキが欲しかったんですね」
「友だちや親戚の子どものためにおもちゃ屋にいくと、“男の子向け売り場”と“女の子向け売り場”ではっきり分かれていて、色合いも一目で分かる感じじゃないですか。自分みたいな人と交流があるということは、いろいろな在り方があるということを保護者の方も感じていると思うので、“女の子/男の子用”のカラーリングやジャンルのおもちゃを渡さないようにしています。でもそうすると、選択肢めっちゃ狭いねん!」
■「直川さんみたいな感じだよね」次の世代が生きやすくなるために
白川プロデューサー
「次の声です」
──男性だから、女性だから、「こうあるべき」という自分自身に植えついた規範に気づいて人に押し付けないこと。そして、みんな1人1人違うのが当たり前で、その人にとって大切なことは自分も大切にすること。前はテレビに映る人を見て、まず「男?女?」と尋ねてくる祖母が変わりました。ノウパンさんはノウパンさんと感じているようです。福島でノウパンさんがノウパンさんでいることで、変化が生まれています。ありがとうございます。
直川アナ
「ジーンとしますね。視聴者の方からお手紙をいただくことがあって、『直川は直川だからっていう認識に家族でなってます』とか、マイノリティの当事者の方から『直川さんみたいな感じだよね』とポジティブに言ってもらえますとか」
「IKKOさんとか、マツコさんとかに私も救われてきたんです。『IKKOさんみたいな感じだよね』とポジティブに受け取ってもらえたことに救われていた。次は誰かにその恩送りをできているなと。すごくやりがいを感じますし、励みになりますね」
白川プロデューサー
「次の世代の人たちの生きやすさを直川さん自身が広げていると思います」
直川アナ
「年代の話でいうと、若い方ほど寛容、お年寄りほど固定観念があるように言われますが、私の周りは結構年配の方がいいねと称賛してくださることがあって、テレビを見ている世代だからこそ、テレビが力になれていることもあるのかなって」
■アナウンサーに“個性”はノイズ?
白川プロデューサー
「必ずしもポジティブじゃない声が届く時もあるんですか?」
直川アナ
「99%ぐらいはすごく嬉しいお手紙なんですけど、1%ぐらい、ネイルとか化粧、あと喋り方について『女っぽい』『不快だ』というご意見をいただくことがあります」
(続きはPodcastで)
日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。
“話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか?
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