文化功労者の都倉俊一さん、ポールに衝撃
今年度の文化功労者に選ばれた作曲家の都倉俊一さん(70)がこのほど、東京・代々木上原の日本音楽著作権協会本部で会見を開いた。
長年にわたり日本の大衆カルチャーをけん引する一方、世界各国で著作権保護に尽力した功績が認められた。
都倉さんは「私の歌を愛してくださった全国の皆さんのお支えがあったからこそ。心から感謝申し上げます」と喜びを伝え、「昭和・平成を思いっきり駆け抜けてきました。次の御世(みよ)に昭和・平成のレガシーを伝えるのも僕の役目かなと思います」と語った。
学生時代は音楽バンドを組み、ビートルズやローリング・ストーンズをカバーしていたが、「人前でパフォーマンスをするのは好きじゃない。なんとなく(作曲家に)なった」と導かれるままの流れを回想。「影響を受けたのは、ソングライターとしてはビートルズのポール・マッカートニー。メロディーが非常に好きでして、衝撃を受けました」と明かした。
1970年代には、伝説の歌姫・山口百恵さんや女性デュオ「ピンク・レディー」の楽曲などを手がけ、日本の芸能界をヒット曲で活性化した。
「百恵さんは神秘性というか引力というか、そういうものがあの子を作ったと思う」と振り返り、「僕たちの作る世界に彼女を入れるより、彼女の世界に入っていった方がいいと思い、周囲もそうした。彼女も自分を貫いた」と都倉さん。
デビュー曲「ペッパー警部」で大ブレイクし、次々にヒット曲を連発したピンク・レディーについては「私も作詞家の阿久悠さんも、誰一人としてあんなにヒットするとは思わなかった」と苦笑いしつつ、「確かにレールには乗っけたのですが、あまりにも早くレールの上を通り過ぎて、我々も追いつかないくらい。あの4年くらいの社会現象は今考えても、不思議な感じがしますね」と、しみじみ語った。
顕彰式は11月5日、都内で。