黒沢清監督、菅田将暉は「人気・実力ともにナンバーワン」 演技のスゴさをベネチア映画祭で解説
菅田さん主演の映画『Cloud クラウド』(9月27日全国公開 配給:東京テアトル 日活)。転売で稼ぐ男を主人公に、“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描いたサスペンス・スリラーで、黒沢監督が脚本も担当しています。
今回、ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門(エンターテイメント性の高い作品を紹介する部門)に出品され、現地時間の8月30日にワールドプレミア上映が行われました。
■米国アカデミー賞の日本代表作品に決定「大変驚いています」
上映の前に記者会見に登場した黒沢監督。実は、会見の直前にこの作品が『第97回米国アカデミー賞 国際長編映画賞』の日本代表作品に選ばれたことが発表。会見で、司会者からお祝いの言葉を贈られた黒沢監督は、「本当に純粋な娯楽映画を作ろうというところからスタートした作品。まさか、このベネチアもそうなんですが、大きな名誉みたいなものと縁があるとは思っていなかったので、もう大変驚いています」と心境を明かし、「それと僕の大きな楽しみは、もしオスカーにこの作品がいったら(ノミネートされたら)、アメリカで菅田将暉さんのことが大いに知られることになるだろうと想像すると、とてもそれはうれしいことです」と語りました。
そして今回、初タッグとなった菅田さんについて「日本でその年代で人気・実力ともに圧倒的にナンバーワンの俳優」と語った黒沢監督。
続けて、「映画の主役は、わかりやすい特徴的なキャラクターがあったり、喜怒哀楽をはっきり表したりする人の方が、特にこういったジャンル映画の場合は都合がいい。(しかし)今回は“普通の人”でいきたい、それが僕の希望でチャレンジでした。いい人か悪い人かどっちなんだろう、“普通の人間”が持ち合わせている濁った曖昧な感じを、菅田将暉くらいの非常に高度な演技力があれば、曖昧さが曖昧さとしてそのまま観客に伝わるんじゃないかなと思い、“彼以外にない”と考えていました。僕は見事にそれに応えてくれたと思います」と、菅田さんを主演に起用した背景を明かし、演技力を絶賛しました。
そして、会見後に行われたプレミア上映は、現地時間の午後11時45分スタートと夜遅くだったにもかかわらず、1032席が埋まり満席に。
上映終了後にはスタンディングオベーションが送られ、鳴りやまない拍手の中、黒沢監督は照れた表情を見せながら、安堵(あんど)したような笑顔で応えました。