氣志團・綾小路翔に聞く 収録曲が “全部同じ曲” 前代未聞のアルバム制作秘話「木梨憲武さんが電話で…」
■同じ曲でもアーティストの個性が光る 綾小路「グッときました」
――11曲全部が同じ曲という斬新なアルバムになりましたが?
『One Night Carnival』は(2002年の)デビュー前からやっている曲なので20年以上演奏してきて、つまりこの“マシン”に乗ってきたのは僕らのみで、俺たちしか知らない『One Night Carnival』に日本が誇る名ライダーたちに試乗してもらえないかな、みたいな。どうせならこの人にやってもらいたいという“大いなる頂”を目指してぶつかっていこうということで。まさかのこの名だたるアーティストの皆さん、11組にご快諾いただけたという。その時点で“優勝”って思いましたね。
――みなさんのカバーを聴いていかがでしたか?
ストレートカバーでいいんですよ、本来。演奏・歌が違えば全然違うものになるので。でも、誰一人そういう人がいなくて。みんな自分たちの色に染め上げてカバーしてくれて、これすごく大変だったろうな、アレンジ。そこ含め、グッときましたね。
■『All Night Carnival』参加アーティスト
01.浜崎あゆみ
02.WANIMA
03.木梨憲武
04.湘南乃風
05.BiSH
06.m.c.A・T& ISSA (DP)
07.東京スカパラダイスオーケストラ
08.鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー
09.打首獄門同好会
10.倖田來未
11.ももいろクローバーZ
個性豊かなメンバーがそろいましたが、なかでもアレンジが独特だったのが3曲目の木梨憲武さん。綾小路さんも「次元が違いすぎ」と驚きを隠せません。
■木梨憲武さんと電話で…「俺のベンチ入りじゃない?」
――木梨憲武さんとはどんな会話をしましたか?
ノリさんに至っては毎回、都度都度で連絡くださるので…。「ありがとうね(曲を)聴いたよ」ってところから「今から録(と)るよ」「今、録(と)り終えたよ」「今から(曲を)送るよ」と。最近も電話いただいて「全員の聴いた」って。「…俺の入れない方がいいんじゃない?みんなのスゴすぎて、俺のってちょっとやりすぎちゃったから“ベンチ入り”じゃないこれ?」(笑)
――木梨さんの個性が爆発したアレンジだったんですね?
我々も(曲中のセリフで)「行こうぜ、ピリオドの向こうへ。」とこれまで“1万2700回”くらい言ってきましたけど、実際、ピリオドの向こうって行ったことないから「行こうぜ」と言っている。いつか行くための場所が“ピリオドの向こう”なんですけど、ノリさんはさくっとピリオドの向こうへ行っちゃいましたね。“ピリオドの向こう行きすぎ問題”っていうか(笑)
■氣志團結成から25年「仲間が欲しくてバンドを始めた」
――アルバムは豪華なメンバーになりましたね?
僕らこの『One Night Carnival』で“さみしがり屋達の伝説さ”というフレーズがあるんですけど、いつも何やるにもひとりぼっちからスタートする人間だったので、仲間が欲しくて、それでバンド始めて。うちもこんなバンドですから仲間みたいなバンドが現れるかっていったらそんなこともなくて、ずっと孤立無援でやってきたんです。「仲間が欲しい」と思いながら。
――結成から25年、多くの仲間ができましたね?
僕はこう見えて意外と人見知りというか、引っ込み思案でみんなにあんまりフレンドリーに接することができないんですけど、でも音楽を通じて“仲間ができたんだな”って。(カバーをして欲しいという)ムチャなお願いに対して、こんなに愛しかない楽曲で返してくれる仲間たちがこんなにもいるんだなって。そこに一番グッときたし、バンド続けてきてよかったなって本当に思いました。