氣志團・綾小路翔、結成当初は“歌なしバンド” 大ヒット曲誕生のウラ側告白「ねつ造して…」
■“愛車”のオンボロマシンで悪路も駆け抜けた
――氣志團にとって『One Night Carnival』はどんな存在ですか
“愛車”という感じなんですかね。とんでもない性能を持ったスーパーマシンじゃなくて、あちらこちらからパーツを集めてきて作ったようなオンボロマシン。でもそれが意外にもタフで、どんな悪路も山道も一緒にくぐり抜けてくることができた。このマシンのおかげでたくさんの方にその走りを見てもらえるようになって、自分たちでは到底たどり着くことができないだろうなという場所まで連れて行ってもらったり、景色を見せてもらったりしました。
■もともとはインストゥルメンタルバンド…メンバー間で意見の違いも
1997年に結成された氣志團。当初から大胆な風貌の“つっぱりスタイル”を一貫していますが、音楽のスタイルは違いました。
――『氣志團』結成当初はどんな音楽活動をしていましたか
もともと氣志團はインストゥルメンタルのバンドで、歌がない、楽器演奏のみのバンドだったんです。そうこうやっているうちに欲が出てきて、みんなで一緒に出来るものが何かないかなと思ったときに、それまで全く発想になかったのが“歌もの”。初めて作った“歌もの”が『One Night Carnival』でした。
――“歌もの”にメンバーの反応は?
メンバーはあまり乗り気じゃなかったんです。メンバーたちは、この世にも奇妙な、つっぱりファッションに身を包んだ若者たちがかなり分かりづらいインスト楽曲を演奏している、その“カオスなところ”が好きだったのに。「こんなのはやらなくていいじゃん。俺たちはそうじゃない」と初めてメンバー間で意見が割れたんです。
――どのように意見をまとめたんですか
僕はこの曲が好きになって、この曲に何かしらの手応えを感じていたんです。なので、アンケートをねつ造して「あの曲が良かった」ってやたら友達に書いてもらったものをメンバーに見せて(笑)。“延命”させながらやっていったら、インディーズレーベルから声がかかるようになったり、有名なインディーズバンドの方からイベントに呼んでもらえるようになったり、この楽曲によっていろんなことが変わったんです。
■氣志團のテーマは「バーリトゥード(なんでもあり)」
――『氣志團』はどんなテーマをもって活動していますか
自分は小学生の頃に“アイドルになりたい”という夢があったんで、80年代ポップスみたいなメロディーを使っておもしろいことができないかっていう“実験”にも近かったと思うんです。いわゆるそれまでのトラディショナルなつっぱりスタイル“リーゼントに革ジャンにロックンロール”みたいな感じではなくて、今までの(つっぱりの)イメージを壊すバカなことがやりたいという思いが強かった。何やってもOK、なんでもありの“バーリトゥード”って感じ。金的と目つぶし以外は全部OKというようなテーマでやっていたと思います。