加藤浩次「楽な車に乗っている場合じゃない!」 葉山・横須賀エリアのカーマニアとふれあい学ぶ
■希少なヨーロッパ車が並ぶ ドリームガレージ
最初に加藤さんが訪れたのは、日本を代表する空冷ビートルの専門店『FLAT4』の創業者・小森隆さんのガレージです。
ガレージには、1964年式『ポルシェ 356』をはじめ、『ジャガー XK140』、『トライアンフ TR3A』など、1950年から1970年代に生産された珠玉のヨーロッパ車が6台収蔵。しかも、すべての車は走行可能だといいます。
『ポルシェ 356』を目にした加藤さんは「いいねえ、めちゃくちゃいいじゃない! ボディーのぼってり感がいいよね」と、車のデザインを称賛。さらに、運転席に座ると「これいいよ灰皿、(この頃は)カセットテープだもんね」と、約60年前の車の装備に興奮した様子を見せました。
希少な車を何台も保有する小森さんに、最も思い入れの強い車を聞くと「僕が60年乗っている1959年式『トライアンフ TR3A』かな。免許を取って、最初に乗った車」と明かしました。この車は、1950年代後半~1960年代初めに生産された2シーターロードスターでした。
すると、加藤さんは「なんで免許を取って、最初にコレに乗れるんですか?」と質問。小森さんは、「(若い頃)一生懸命アルバイトして、お金をためて買ったんです。新聞配達、牛乳配達、クッキー製造など、いろいろアルバイトをやっていたんですよ」と、バイトを掛け持ちして働いたといいます。小森さんの努力に、加藤さんは「(ずいぶん)配達しましたね~。当時、高くて手に入れづらい外国車を、今でも持ち続けているのはスゲえ!」と、感銘を受けました。
最後に、小森さんにとってガレージとは? と質問すると「やっぱり玉手箱です」と明かしました。
■カスタムとは、車の性能を上げること
続いて、加藤さんが足を運んだのは、アメリカ車や4WDをメインに1000台以上の車のカスタムを手がけてきたカーショップ・クワドロペットカスタム。
イエローボディーの『メルセデス・ベンツ Gクラス』が目に留まった加藤さんは、「ノーマルから、どれくらい(車高が)上がっているんですか?」と質問。カーショップ代表の市来裕昌さんは「6インチ(約15センチ)です。元々軍用車で、4WDの車の特長を上げてあげることが大事。ローダウン(車高を下げる)は、性能を壊しているとしか思えない。これだと、水深1メートルも、がれきの上も、積雪でも走れる」と、車高を上げる利点を明かしました。
そして、助手席に乗り込んだ加藤さんは「Gクラスに乗っているとは思えない。全然違う! トラックとかバスとか、そのぐらいの高さです」と、車からの眺めを例えました。
市来さんは、日本にリフトアップ文化が根付いていない頃に、独学で自身の車をカスタム。それが人の目に留まり、カスタムを請け負うようになり、40年この仕事を続けているそうです。
最近カスタムしたという、1980年式『ジープ CJ7』について、市来さんは「これ全部、軽量で耐久性があり、自由に成形できる繊維強化プラスチック・FRPボディーに換えています」と明かしました。またサスペンションや、足回りはオリジナルパーツを使用。さらに、市来さんがデザインしたタイヤ『Mud Grappler(マッド・グラップラー)』は、恐竜の爪をイメージしたタイヤの溝が特徴だといいます。見た目だけではなく、オフロードシーンでも、岩場をしっかりととらえる優れた機能も備えているそうです。
そして、現在のトレンドだという『スズキ ジムニーシエラ』。バンパーやフォグランプは、市来さんが手がけたオリジナルパーツ。大きすぎない手頃なサイズと、デザインが人気で海外からも注文があるといいます。
最後に、市来さんにとってカスタムとは? と質問すると「性能を上げることがカスタム。お金を払っている意味があるのかなと」と語りました。これには、加藤さんも「見た目が良くても、性能が悪かったら話にならいですよね」と共感しました。
■築100年 車好きが集うカフェ
最後に加藤さんが訪問したのは、国道134号沿いにある『リバイバルカフェ』。名車やレア車が止まっている駐車場を発見すると、加藤さんは「すげえ車! カウンタックがある! こんな珍しい車が、いっぱいあるカフェないよ」と興奮しながらお店に入りました。
加藤さんが、1964年式『MG MGB マーク1』で来店したお客さんに話しかけると、「このカフェにはよく来ています。普通は乗るために維持するじゃないですか。維持するために乗っているんですよ。その目的が、このお店です」と明かしました。加藤さんが、「ここに来ると、車ファンというか旧車好きの人と話ができて楽しいですか?」と質問すると、お客さんは「楽しいです」と即答しました。
2018年に『リバイバルカフェ』をオープンしたオーナーの三﨑由湖さんは、毎年クラシックカーラリーに出場するほど車が大好き。カフェを始めたきっかけについて、三﨑さんは「元々のコンセプトが、車好きが集まる場所、自分が行きたいお店をつくりたかったんです。三重、長野、仙台から、けっこう若者が日帰りで来ます」と明かしました。すると、加藤さんは「若者が旧車好きって、けっこう減っているイメージがあるんですけど?」と聞くと、三﨑さんは「けっこう最近、(このカフェには)車好きの若者が増えている」と明かしました。
また、店名の“リバイバル”の由来について、三﨑さんは「つぶれそうだった蔵が、取り壊しになるということで、ちょっともったいないなと思って見に来たら、一目ぼれして購入した。2年かけて自分たちだけでリノベーションしました」と、解体寸前の物件をリノベーションしたことが理由だといいます。
そして、ランチ目的に訪れていたお客さんが、1988年に登場した『ランボルギーニ カウンタック 25thアニバーサリー』を見せてくれました。
カウンタックを間近に、北海道出身の加藤さんは「札幌のデパートに、スーパーカーが来たんだよ。高校1年生か2年生かな。カウンタックが止まっていたんだよ」と懐かしみました。また加藤さんは、約15センチで全開になるという窓ガラスの隙間について「これ全開よ! ファストフードのドライブスルーで(買ったものが)入らないじゃないですか! 押し込まないと無理だよ」と、爆笑しました。
最後に、カフェのオーナー・三﨑さんにとって“リバイバルカフェ”とは? と質問すると「大人の学校、大人の幼稚園です。年配の方から若い方までの情報交換、(車好き同士が)会話をしながら学ぶ場所になっています」と語りました。加藤さんも、「インターネットで調べるより、人と話すだよ。これ、スゴい大きいと思う」と共感しました。
今回、葉山・横須賀エリアの車や人と触れあった加藤さんは、「ちょっと自分、反省した。50代で楽な車に乗っている場合じゃない! 小森さんや、市来さんという俺より上の世代が、旧車のマニュアル車を乗っていると知って、目を覚ましましたよ」と、車に対する意識を変えたいと明かしました。