約65年の歴史『丸の内 TOEI』 7月27日に閉館「にぎやかな終幕を」 吉永小百合らコメント
映画会社・東映の『ラインナップ発表会』が16日に開催され、約65年の歴史をもつ映画館『丸の内 TOEI』が7月27日に閉館することを発表。ゆかりのある俳優たちがコメントを寄せました。
『ラインナップ発表会』では、2025年・2026年の新作映画情報を公開。鈴木亮平さんと有村架純さんがきょうだい役を演じる『花まんま』や、妻夫木聡さん、広瀬すずさん、窪田正孝さん、永山瑛太さんら豪華俳優陣が共演する『宝島』といった話題作が紹介されました。
東映株式会社・吉村文雄代表取締役社長はラインナップの推しポイントの1つとして、「アニメ作品にますます力を入れていく」と説明。この日、2つのアニメ作品の情報が初解禁されました。
1つ目は、『鉄コン筋クリート』などで知られるSTUDIO4°Cの新作『ChaO』(2025年夏公開)。人間と人魚が共存する未来社会を舞台にしたラブストーリーです。
2つ目は、人気漫画の映画化『ペリリュー -楽園のゲルニカ-(仮)』(2025年12月5日公開)。2016年から2021年まで『ヤングアニマル』で連載され、太平洋戦争の激戦の地・ペリリュー島で生きた若者たちを描いた作品です。
登壇した久慈悟郎監督は、「戦後80年の今年、アニメとして描くことになりました。自分も含めて、この映画を見ていただく観客の方たちは太平洋戦争時には生まれていなかった、物心ついていなかった方がたくさんいらっしゃると思う。そういう方たちにも自分事として見てもらえるような題材にできれば」とアピールしました。
■『丸の内 TOEI』閉館へ 歴史を振り返る
そして、発表会の最後で、東映最後の直営映画館である『丸の内 TOEI』が7月27日をもって閉館することが発表されました。
1960年9月20日、東映の現本社ビル『東映会館』の完成とともに、『丸の内東映』と洋画封切り館である『丸の内東映パラス』としてオープン。開館公演は、二代目大川橋蔵さん主演の『海賊八幡船』でした。
2004年に名称が『丸の内 TOEI』に統一され、今と同じ2スクリーン体制に。“銀座の顔”として多くの映画ファンに愛されてきましたが、去年5月に東映会館の老朽化を理由として再開発されることが発表されていました。
■写真で見る 過去の映画館の様子
梶芽衣子さん出演『女囚さそり 701号怨み節』(1973年12月29日公開) 公開当時の映画館の様子
佐分利信さん、三船敏郎さん出演『日本の首領<ドン> 野望篇』(1977年10月29日公開) 公開当時の映画館の様子
深作欣二監督のスペース・ファンタジー『宇宙からのメッセージ』(1978年4月29日公開) 公開当時の映画館の様子
菅原文太さん出演『トラック野郎 熱風5000キロ』(1979年8月4日公開) 公開当時の映画館の様子
■俳優たちが『丸の内 TOEI』閉館にコメント寄せる
北大路欣也さんは、「1965年に映画『父子鷹』でデビューさせていただき、偉大な先人の方々の情熱溢れる仕事ぶりを目の当たりにし、身の引き締まる緊張感を覚えました。今もその感動の日々を忘れることはできません」とデビュー時を振り返り、「あらゆるポジションの方々が、力を結集し全身全霊で築き上げられた東映本社ビルと劇場『丸の内TOEI』。私も幾度か作品を通して劇場の舞台でファンの皆さまと交流をさせていただき、楽しい時間を共有できたことは嬉しい思い出です」とコメントしました。
吉永小百合さんは、「初めて丸の内 TOEIで舞台挨拶をさせていただいたのは、1980年1月15日。一年間掛けての撮影で映画の本当の醍醐味を知り、役に成り切る高倉健さんのパワーに圧倒された『動乱』の初日でした。それ以来、20本近くの作品の初日をこの劇場で迎えたのです。公開中に、お客様の反応を知りたいと、そーっと後部の席に座ったこともありました」と振り返り、「映画の本来の楽しさを知る、大切な大切な直営の劇場が無くなってしまう……悲しいです。感謝の思いでいっぱいです」と心境を明かしました。
東映株式会社・吉村文雄代表取締役社長は、閉館にあたり様々な企画を検討しているといい、「60数年にわたり多くの俳優の方々、スタッフの方々、映画を愛していただいたお客様に本当に愛された劇場です。劇場の最後、華々しく盛り上げて、にぎやかな終幕を迎えたいと思っております」と話しました。
再開発後は、商業施設に生まれ変わるということです。