【日本国内にわずか8人】ギネス世界記録公式認定員のお仕事 “失敗は許されない”
ギネス世界記録は、1951年にアイルランドのウェックスフォード州で狩猟を楽しんでいた、当時のギネス醸造所の最高経営責任者だったヒュー・ビーバー卿が、「ヨーロッパで最も速く飛ぶ鳥はどれか?」という疑問をきっかけに、さまざまな世界記録を集めた本が誕生したところから始まりました。
これまで、約6万件(2022年11月時点)にも及ぶギネス世界記録が誕生し、10月24日には『かいけつゾロリ』シリーズを手がける児童文学作家・原ゆたかさんが『同一作者によって物語とイラストが執筆された単一児童書シリーズの最多巻数』としてギネス記録に認定されました。
■ギネス世界記録は “誰でも挑戦できる”
――ギネス世界記録に認定されるには、どうすればいいのでしょうか?
ギネス世界記録の公式サイトから(誰でも)申請をいただけます。およそ3か月後ぐらいに申請が受け付けられて、もしその申請が既存のものだったりしたらルールとかそういったものが送られますし、新しい記録だったら、記録管理部という部署がありまして、命の危険を感じるものであったり、すべてのものが認められるものではないんですが、“記録としてふさわしいか”ということを審査するので、われわれの方で専門家に聞いたりですとかして、この記録が例えば(挑戦した回数や累計個数などの)数字が500だったらギネス世界記録としてふさわしいという事を決めて、その新しい記録のためのガイドラインルールとかを作って(申請者に)送るようなかたちになります。
■公式認定員のミスは許されない “挑戦の現場”
関岡さんを含め、『ギネス世界記録公式認定員』は、2022年11月時点で、世界に70人、日本国内では8人の公式認定員が各地を飛び回り、さまざまなギネス世界記録への挑戦に立ち会っているそうです。
――ギネス世界記録公式認定員になろうと思ったきっかけは?
世界記録に挑戦するとか、それを達成したその瞬間に、その場に自分がいるって “何かすごいことだな” って、すごく光栄だし感動するということがあったので、自分がギネス世界記録の公式認定員になったら、その場にいられるんだと。そういう瞬間を分かち合えるんだっていうことがやっぱり一番ワクワクしたので、ギネス世界公式認定員になりたいなと思いました。
――資格とか必要なのでしょうか?
人前でしゃべることもあるので、公式認定員はコミュニケーション能力ですとか、共通言語が英語なんですね。なので英語ができるということは必須になります。
――どうやったら公式認定員になれるのでしょうか?
基本的には普通の方が就職するときと同じで、ギネス世界記録の公式認定員を募集しているときっていうのがありまして、自分の履歴書ですとか、職務経歴書ですとか、そういったものを応募して、採用試験があって採用となります。公式認定員としてデビューするには、東京とそれからイギリス・ロンドンの方で、座学の研修と、実際にすでに認定員になっている方の現場に行って、トレーニングするっていうことをしています。
――どのようなトレーニングされているのでしょうか?
うまくカウントできないなとか、じゃあちょっと(腕を)固定した方がいいのかなとか、よりどうやったら(判定を)正確にできるかとかですね、例えばストップウオッチとカウンターを両方やるときには、目の前で挑戦を見ながら、ストップウオッチとカウンターもやらなきゃいけない。手元ばかり見てると挑戦を見逃してしまいますよね。なので、この場所(見やすいポジション)でちゃんとやるとかですね。そういったことも、なるほどと思いながら最初は基本的なことを学びます。
――緊張はされますか?
もし自分のストップウオッチがちゃんとできなくて、2回目っていうわけにはいかないので本当に緊張します。認定員のせいになってしまうと本当によくないので…。
――公式認定員として実際に現場に立ち会う心構えはなんですか?
公平な審査を求められるので、心の中では応援したい気持ちもあるし、こうすればいいなとか、アドバイスしたい気持ちもあるんですけれども、やはりそれは公平性に欠けてしまうので、達成したら本当に私もすごくうれしいんですけれども、あくまで審査の時は厳正にすることを心がけています。
■ギネス世界記録は “感動をもたらす”
憧れのギネス世界記録公式認定員となり4年たつという関岡さんに、ギネス世界記録について語ってもらいました。
――公式認定員の関岡さんにとってギネス世界記録とは?
日常から離れて世界記録に挑戦するっていう、たとえ失敗したとしても、“挑戦して頑張った”っていう何かそういう感動をもたらしてもらえる。それがギネス世界記録だと思います。