「ありがとう!名電1号形!」120年前名古屋を走った路面電車 北海道に“返還” 愛知・犬山市「博物館明治村」
24日、愛知県犬山市の「博物館明治村」で、明治時代に名古屋市内を走っていた路面電車を北海道に“返還”する作業が行われました。なぜ遠く離れた北海道なのでしょうか。
みなさんが夢中になっていたのが、120年以上前の明治時代に名古屋で走っていた路面電車「名電1号形」。
その搬出作業が公開され、重さ4.5トンの電車をクレーンで吊り上げていました。
いったいどこに移されるのでしょうか。
博物館明治村 湯田晃久 所長:
「北海道の札幌市まで運びます。札幌市交通局から借りていたもので、このたびお返しすることになりました」
名電1号形は、明治時代に名古屋でつくられ、「名古屋電気鉄道(現在の名鉄)」、が名古屋市内で走らせていました。
最大の特徴は、金属ではなく木でつくられていること。
その後、札幌の鉄道会社に譲渡され、大正時代に札幌初の路面電車として運行。昭和11年まで市民の足として親しまれていました。
そんな名電1号形に転機が。
約10年前、名鉄は札幌市交通局が保管していた電車を借り受け、名古屋で走っていた当時の姿に修復して「明治村で走らせる」というプロジェクトが始動したのです。
2013年12月、電車は北海道から名古屋港までフェリーで運ばれました。
約100年ぶりに里帰りした名電1号形。
大阪の工場で修復することになりました。
しかし、問題が。モーターなどの損傷がひどかったため再び走らせることを断念したのです。
博物館明治村 鷲見勝彦 所長(当時):
「動かすには安全性の担保がとれないと判断し、動態展示をやむなく見送った」
ゆくゆくは返すことも考慮して、札幌で開業した当時の姿に修復することにしたのです。
残っていた絵葉書などをもとに、「ぶどう色」という専用の塗料で塗り直すなど約半年かけて修復しました。
2014年、開村50周年を迎えた明治村でお披露目されました。
そして、名電1号形は、9年にわたる明治村での展示期間が終了し、9月24日、札幌へ返還するため搬出作業が行われたのです。
お客さん:
「寂しいなと思います。ずっとあったので。遠くに行っちゃうのは寂しいですけど、なくなるわけではないので」
「ほんとにありがとう!名電1号形!」
搬出作業に立ち会っていたのがこの電車を保管していた札幌市の交通局職員。
札幌市交通局 駒田心平さん:
「丁寧に保管していただきまして、私たちの方で引き継がせていただき、多くのみなさまに見ていただくということで、車両も含めて気持ちのところも引き継いで、我々のほうでいかしていきたい」
名電1号形は、「札幌市交通資料館」で展示される予定です。
【中京テレビ 「キャッチ!」 9月25日放送より】