「大正時代の音がよみがえる」 100年前に小学校にやって来たピアノ 修理を経て復活
世界三大ピアノのひとつといわれるベヒシュタインピアノ。約100年前、熊本市の小学校にやって来ました。老朽化で使えない状態でしたが、修復を終え、34年ぶりに音色がよみがえりました。
今年、創立150年を迎えた熊本市の碩台小学校。記念式典の中で披露されたのは…ピアノです。約100年にわたり、学校と歴史をともにしてきました。
碩台小にあるのは、世界三大ピアノといわれるベヒシュタイン社製のピアノ。九州の国公立の教育機関では他におかれていない貴重なものです。
大正時代の1925年に碩台小にやってきたベヒシュタインピアノ。70年前の文集でも話題にのぼっていました。
「大正15年、5年生の時でしたろう。学校に出ると全く急な招集があり、全校生徒は講堂に集められました。」
「このピアノはまだ買ってから1週間ばかりしかなりませんのに、もう爪の型をつけて、きず物にした」
老朽化したピアノ 復活に向け修復
1953年の白川大水害で一度壊れてしまったものの、ピアノは復活。
しかし…。
■碩台小学校 杉水修校長
「ここにピアノが置いてあった」
今年3月、碩台小からピアノの姿が消えていました。老朽化が進み、1989年からは演奏できない状態になっていたのです。
卒業生の声などを受け、修復することになり、菊池市の工房で作業が進められていました。お披露目は、学校の創立150周年の式典です。
■碩台小学校 杉水修校長
「元のままの材料が使われているので、大正時代の当時の音がよみがえるんじゃないかな。ととても楽しみにしています」
そして10月。修理を終えたベヒシュタインピアノが学校に帰ってきました。
始まったのは調律。鍵盤に繋がる弦を調整して、正しい音を作り上げていく繊細な作業です。
式典の日にピアノを演奏するには、プロのピアニスト、吉田秀晃さん。碩台小の卒業生です。吉田さんが小学生の時は、このピアノがありました。
■ピアニスト 吉田秀晃さん
「子どもの頃、毎日のように触っていた楽器。鍵盤を触った感覚というのが、子どもの時の感覚が残っていて、触った瞬間に感覚がよみがえった」
音色は、ピアノの位置が少し動くだけで変わってしまいます。調律は3時間以上に及びました。約30年ぶりに復活するピアノの音色。お披露目まで、あと少しです。