サバ激減…漁獲量が数年で半分に 「仕入れられない」鮮魚店悲鳴 メニュー変更余儀なくされる飲食店も
サバがいま不漁で価格も上がっているということです。店によってはサバが数日間仕入れられない事態も起きているといいます。
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“サバの名産地”千葉県銚子市の漁港にある飲食店。脂がたっぷりのったサバの塩焼きや、しっかりと味がしみこんだサバのみそ煮などを提供しています。
客(50代)
「銚子はサバの水揚げが結構有名。特に脂が冬場のっていておいしい」
塩焼きについては冷凍された地元、銚子産のサバを使っています。しかし、生のサバについては…
食事処「万祝」内山真吾店主
「もう刺し身用は仕入れてない。仕入れられてないです」
海鮮玉手箱というメニューには本来、銚子産のシメサバが入っていましたが、銚子での水揚げが減っているため生のサバが仕入れられず、いまは別の魚介で代用しているといいます。
食事処「万祝」内山真吾店主
「銚子といえばサバって言うお客様もいる。(サバが)使えなくなるっていうのは寂しい」
みそ煮は、銚子産以外のサバに切り替えていました。
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千葉市の鮮魚店でも、12日は新鮮なサバが店頭に並んでいましたが…
石毛魚類みつわ台店・坪井義裕店長
「ここ2~3日は入荷がなかった。2つの市場にかけもって、それでやっと集まった」
市場で品薄となり、量を確保するのもやっとの状態。さらに仕入れ値も…
石毛魚類みつわ台店・坪井義裕店長
「値段も少し上がっている。1.5倍くらい上がっているかな」
そのため、店頭価格も値上げ。この日は、去年より100円ほど高い322円(税込み)で販売していました。お客さんは…
サバ購入(80代)
「サバ・アジ・イワシぐらいが大衆魚でしたから」
──いまは高い?
サバ購入(80代)
「ですね、どうしましょう」
サバ購入(60代)
「買えるレベルで収まってくれたら」
──もっと値段が上がると?
サバ購入(60代)
「食べる回数が減るかもしれない」
食卓の味方、サバ缶も値上がり。国産のサバを使った缶詰を販売する会社では、原料の価格高騰などを受け、5年前に比べ、卸売価格を40%ほど値上げしました。
東京都中央卸売市場では、サバ類の平均卸売価格がこの10年ほどで約1.5倍に上昇。庶民の魚、サバに襲いかかる値上げの波。その背景にあるのは…
水産研究・教育機構 グループ長・由上龍嗣さん
「地球温暖化などの影響によって海洋環境が変わって、サバのエサとなる動物プランクトンが減ってきている」
太平洋の潮の流れなどの影響で、エサが減少したことにより、数年前からサバの漁獲量が急激に減っているというのです。2018年と比べると、2023年は26.1万トンと半分以下に。(※2018年:約54.5万トン、2023年:約26.1万トン 農水省HPより)
資源を守るため、水産庁は先週、より漁獲量が減っている太平洋のサバ類の漁獲枠をめぐり検討会を開き、来シーズンは7割~8割程度減らす案が示されました。
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深刻化するサバの不漁。その影響はすでに意外なところにも広がっています。日本有数のサバの産地、青森県八戸市にあるホテル。訪ねてみると、「当分休業します」と書かれた張り紙が。
サバの不漁で地元のサバを使ったホテルの名物「虎鯖棒すし」が提供できないことなどから休業する決断をしたというのです。施設の老朽化も理由の1つだといいますが…
運営会社ホテル八甲 谷口幸博代表
「宿泊業、サバ、両方の空気を入れ直す。その時間をどのようにして詰めればよいか思考する上で、休業という措置をとりました」
今後、営業が再開できるのかについては、サバの漁獲量などを見つつ、検討していきたいとしています。
“庶民の魚”だったサバ。今後価格はどうなるのでしょうか。