“春キャベツ”産地で異変「菌核病」で約3割が被害 価格高騰ピークすぎるも…
キャベツの価格高騰は、ピーク時に比べると、少しおさまってきた印象があります。そうした中でいま、キャベツの産地で葉が変色してしまう病気が出てきているそうです。
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“キャベツの名産地”千葉県銚子市にある町中華「歩夢蘭」。店の半分近くのメニューにキャベツを使うといいます。キャベツと豚肉の相性抜群、濃いめの味付けでご飯が進む中華の定番「回鍋肉」に、麺が見えなくなるほどキャベツなどの野菜をドッサリのせた「タンタン麺」。ギョーザのあんにたっぷりとキャベツを使うのも、この店のこだわりです。
去年12月、キャベツの価格が高騰しているため「回鍋肉」などのメニューを一時的に値上げ。地元・銚子の「春キャベツ」の“でき次第”では、値段をもとにもどすことも検討していました。しかし…
「歩夢蘭」長谷川史貴さん
「地元の農家に聞くと、発育がよくないとか、いいものができるか分からないというのは聞く。いまの(値上げした)臨時の価格をそのまま通常の価格にしないと、という状況になってしまうのかな」
これからの時期は、愛知県などの「冬キャベツ」から千葉県の「春キャベツ」へ“産地リレー”が進みますが、その千葉県産の8割ほどを占める銚子の「春キャベツ」に“異変”が起きているのです。
キャベツ農家 鈴木茂雄さん
「菌核病というのが、はやってしまいまして」
──キャベツの表面が変色していますが?
キャベツ農家 鈴木茂雄さん
「菌におかされて、とろけちゃっている」
農協によると、1月に気温が高かったことなどから菌が繁殖して葉が腐ってしまう「菌核病」が例年より早く発生しました。中には、収穫時期を迎えたばかりなのに、ほぼ“全滅状態”の畑もありました。農協によると、被害は出荷量全体の3割ほど。
キャベツ農家 鈴木茂雄さん
「今年は本当に多いと思う。過去にみないですね、ここまでは。ここまで広がると、出荷数少なくなっちゃう」
柔らかくみずみずしい甘みが特徴で、「灯台キャベツ」として全国的にも知られる“銚子のキャベツ”。心配されるのが食卓への影響です。
都内のスーパーでは…
記者
「自転車に乗ってキャベツを見ている人がいます。自転車から降りました」
300円を切ったキャベツに人だかりができていました。
お客さん(50代)
「ひと頃より、ちょっと落ち着いたかな。(前は)500円とかしていた。さすがに買えないなと、半玉とか買っていたけど」
──だから、思わず自転車から降りた?
お客さん(50代)
「そうですね。きょうは妻が作ってくれる、キャベツ炒め」
飲食店
「安いと助かります。ちょびっと多めに買う。高いときは使う分しか買わない。まだ安い方、よかったですよ」
都内では“1000円超え”の店もあるほど高騰していた“キャベツの価格”。1月初めは平年の4倍でしたが、2月は平年の2倍程度と、なんとか手が届く価格に落ち着いてきたばかりです。こうした中…
スーパーイズミ 五味衛社長
「先週まで千葉(産)売っていたのよ」
──千葉のどこ産?
スーパーイズミ 五味衛社長
「銚子。市場の方でも姿を見ない、千葉産を。病気のせいかね、荷物が入ってこない。少しでも安ければ店頭で売りたいから、安いのを探しているんですけど」
このスーパーでは銚子産が市場にないため、別の産地のキャベツを仕入れ。
──菌核病というものらしいです。
お客さん(50代)
「菌核病? そうですか。困っちゃいますね、せっかく落ち着いたかなと思ったのに。(買うのは)なるべく大きいやつにしようかなと、せっかくだから大きいの」
影響はどこまで広がるのか。野菜の流通に詳しい専門家は、安定出荷の“予定が狂った”と指摘。
農業ジャーナリスト 松平尚也さん
「市場関係者は3月くらい、春キャベツが出始める時期になると価格が落ち着くのではないかと予想・予測をしてきた。その“予測が狂って”しまった。春キャベツが安定出荷されることが価格が落ち着く“1つの条件”だったので」
“最強最長寒波”の影響が重なった場合、全国的に再びキャベツの価格が高騰するおそれもあると分析しています。