どう選ぶ?電力自由化7つのポイント
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。16日のテーマは「電力、どう選ぶ?」。日本テレビ・小栗泉解説委員が読み解く。
(1)電力自由化で何が変わる?
私たちはこれまで、東京電力など、地域の電力会社から電気を買ってきたが、4月からは、新規に参入するガス、石油、通信などさまざまな分野の会社から電気を買えるようになる。
多くの会社が参入することで、電気料金が安くなったり、太陽光、風力など再生可能エネルギー中心の会社から電気を買ったりすることもできるようになる。小売り事業者として登録しているのは全国で200社以上。これまでに電力会社を切り替える申請をした家庭などは、2月末の時点で、全国で約27万件だという。
(2)どう選べばいいのか?
エネルギー問題に詳しい都留文科大学・高橋教授は「消費者はこれを機会に“何にこだわるか”を考えて選ぶことが大事」と話す。
高橋教授は、たとえば、何より電気料金を減らしたい人は「1円でも安い会社」を選べばいいし、携帯電話の料金やガソリン代が高くて節約したい人は、電気料金とセットになった「セット割引」を利用すればいい。また地域貢献や環境にこだわる人は地元で太陽光発電を行うなど再生可能エネルギーを使う会社を選べばいいと話す。
(3)ネット上の「比較サイト」も参考に
とはいえ、情報が多すぎて迷う人は、各社のプランを比較できるネット上の「価格.com」や「エネチェンジ」のサイトなども参考になる。
どちらも、郵便番号、世帯人数、昼間の在宅状況や、現在の電気使用量などを入力すれば、電気料金がどれほど節約できるかなど、各社のプランが表示される。これもどの会社を選ぶか、ひとつの目安にはなるかもしれない。
(4)太陽光や風力などの電力を買いたい人は―
これがなかなか、私たちが調べるのが難しいのが現状だ。というのも、経産省は電力小売り事業者に対してどんな発電所から電気を仕入れているかという「電源構成」を消費者に示すことを義務とはしてない。このため電源構成を分かりやすく示している会社はまだ少ない。
こうした中、環境団体などが作る「パワーシフトキャンペーン」のサイトでは、再生可能エネルギーを中心に供給を目指す会社を独自に調査し、掲載している。
このサイトに掲載されている会社のひとつが東京都世田谷区の「みんな電力」という会社。この会社は、所有する世田谷区にある太陽光発電所で電力の地産地消を目指している。野菜や果物と同じように、どこで誰が電力を作っているかをホームページで消費者へ示す「顔の見える発電所」を売りにしている。来年度の計画では7割を太陽光などの再生可能エネルギーで賄うことを目標としているという。
ほかにも、茨城県水戸市にある「水戸電力」も地元で作った再生可能エネルギーを中心に主に茨城県内へ電気を供給して地元の活性化を目指している。電力も地産地消の時代になりつつあるのかもしれない。
(5)撤退すれば、別の会社と契約し直す手間も
ただ、来月から始まる家庭への電力自由化に先立って、官公庁や学校などに電力を供給してきた日本ロジテック協同組合が、電力事業から撤退し、自己破産の申請に向け準備を始めたことが今週わかった。
高橋教授は「電力小売りの会社が倒産しても翌日電気が止まる事はないが、別の会社と契約をし直す必要が出てくる。どの会社を選ぶのか、事業者を賢く選べる消費者にならないといけない」と話している。その会社の信頼性も見極める必要がある。
(6)電力会社を切り替えたい場合は?
基本的には切り替え先の電力会社へ申し込みをするだけで、今の電力会社に連絡する必要はない。その場合、今の電気の検針票などに書いてあるお客様番号などが、必要になるため、忘れずにとっておくと便利だ。
(7)賢い選択を
電力会社を変えるにせよ変えないにせよ、私たちがどんな会社を選ぶかで、今後の日本のエネルギーや電力会社のあり方に大きな影響を与える事になるだろう。それだけに賢い選択をしたいところだ。