アイリスオーヤマ社長、逆転の経営術3/5
アイリスオーヤマ代表取締役社長・大山健太郎氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「東日本大震災で被災企業に 省エネ・節電への取り組みが大ヒットを生んだ」。
被災し、「どうあるべきか」を考えたという大山氏。その思いを語る。
■我々の商品を被災地に
――具体的に被災直後、企業にはどのような影響が出たんでしょうか。
当社は本社が宮城県、そして宮城県に工場が2つございました。私は震災当時、千葉県にいたんですけども、宮城に入るのに丸2日間かかりました。残念ながら、グループ企業の社員3名が尊い命をなくしました。
電気は来ませんし通勤も大変な状態の中で、私は一晩「どうあるべきか」を考えました。被災地のボランティアでいろいろ支援するのも大事だけど、生活用品を作っておりましたんでね。震災当時に必要な商品がたくさんありましたので、社員に「まずは、我々の商品を被災地に届けることが一番だよ」ということで工場再開に努めました。
■日本の課題解決に向けて
――その中で、原発が止まるということもあったんですけれども、アイリスオーヤマさんはその中でLEDというものに注目しました。今はパナソニック、東芝に次いで国内3位のシェアを目指そうという位置にあると伺ったんですが。
当社は快適生活のための生活用品の企業であって、家電メーカーではなかったんですね。ただ、ガーデニング用品の中でイルミネーションを扱っていまして。その時、豆球だったものをLEDの電球に当社は内製化することができ、LED電球を自社生産していました。
その相前後しまして、震災がありました。計画停電は我々、非常に苦労しました。もちろん全国がそうであったわけで、まして福島がああいう状態だったので、まず節電に貢献をしたいということで、「ホームソリューション」の会社を「ジャパンソリューション」という形にしました。日本の課題解決に向けて一肌脱ごうとLEDに参入したんです。
■増産できたワケは
――急にたくさん需要ができたわけですが、それに対応するためにLEDを増産するというのはどうして可能だったんですか?
当社は国内に8工場あるんですが、主力工場は中国の大連でございましてね。大連はおかげさまで地震の被害がなかったわけですから、震災2週間後に私は大連に飛びまして、その工場で一気に生産能力を3倍に拡大する事によって増産できたんです。
小売業さんは電気を暗くすると、やはり売り上げが落ちるんですね。節電しなきゃいけないのであれば、LEDに変えることによって店は明るくなり、節電にも貢献するということで、LED照明に注力しました。