ベジタリア小池氏「科学で変える農業」1
キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回は、ベジタリア代表取締役社長・小池聡氏。ITから農業へ…その転身の契機とは。
■経歴
中央大学を卒業後、シリコンバレーで活躍し、2000年以降、日本でITベンチャーブームを作った。2009年までは上場IT企業の社長をしていたが、2010年にITと農業を組み合わせたベジタリア株式会社を設立し、代表を務めている。
■就農の契機は
――ひとつ目のキーワードは「なぜ?IT企業社長が農業に転身。成功の果てに見えたものは…」。IT社長から農業へのというのは珍しいことだと思うんですけれども、元々、何がきっかけだったんでしょうか?
私は1980年代、日本がバブルの時に日本でサラリーマンをやってました。そして、1990年代のはじめに駐在員でアメリカに行ったんですね。ニューヨーク、シリコンバレーでいろんなことをやってきました。そのアメリカで独立をしたんですけれども、アメリカに居たときに「人生後半戦はちょっと地に足をつけてライフワークを見つけたいな」と思ってたんです。
そのライフワークは、できればやっててすごく意義があることで、なおかつちょっと社会貢献みたいなこともできればいいなと思ってたんですけども、そのアイデアが浮かばなかったんですね。
それで、ちょうど東京大学が社会人向けのビジネススクールをつくったということで、非常に興味を持ちました。そこに勉強しに行って、「人生後半戦のテーマのヒントをもらおう」と。そこで興味を持ったのが「健康と食と農業と環境」だったんです。そこを卒業してから就農しました。とにかく、問題が何だかよくわかんなかったので「やってみよう」と。
■授業から見いだした注目産業
――それは授業の中で興味を持たれたということですか。
そうです。いま、三菱総研の理事長をやっていらっしゃる小宮山先生が当時の総長だったんですけども、「日本は課題先進国だ」ということをずっとおっしゃっていました。戦後の高度成長の中で公害問題が起きて環境技術が発達したとか、あるいはエネルギーがないので、再生可能エネルギーが発達したとか。いま、超高齢化社会を世界に先駆けて日本は経験してますよね。それもいろいろ解決をしていくだろうと。その課題が日本の強みであり、国際貢献にもなるだろうと。
ただ、それを世界にプレースメントできるリーダーシップ教育が必要で、ファイナンスやマーケティングとかビジネスだけ勉強してもだめだと。幅広くエネルギー問題とか哲学とか、いろんなことを学ぶべきだと。そういう授業がいっぱいあったんです。
そういった中で、エネルギー問題も大事だけれども、「人間のエネルギー源を作っている農業という産業は、もしかしたらすごく大事じゃないかな」と思って興味を持ちました。
■リスクを取りに行きたがる
――サラリーマンである自身の立場から聞きたいのですが、今まで成功した道からあえて農業というのは、けっこう勇気のいることだと思うんですけども、怖さとかそういうものは一切なかったんでしょうか。
全然。性格なんでしょうね。だいたい人がやってないことをやりたがるし、リスクをあえて取りに行きたがっちゃう。農業も、土との戯れも含めてすごく興味があって、そもそも昔から好きだったんでしょうね。家庭菜園じゃないけど、植物をプランターに植えたりしてましたから。
最初は、そんな農業という感じじゃなくて、「自分が食べる分ぐらい自分で作ってみようかな」ぐらいの気持ちで小さく始めたんです。それがだんだんエスカレートしちゃったという感じなんですね。