記録的“不漁”続くサンマ 漁獲量は4年連続で過去最低 原因は「沖合化」?
サンマの記録的な不漁が続いています。国産のサンマが手に入らず、輸入したサンマに切り替える水産加工会社も出てきています。記録的不漁の原因はなんなのか。その調査結果が7日に公表されました。
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こんがりジューシーな焼き目が食欲をそそるサンマ。安くておいしいというのは昔の話になりました。7日、東京都内のスーパーに並んでいたのは、1匹180円の台湾産の解凍されたサンマです。
ベニースーパー佐野店 赤津友弥さん
「今日、仕入れたのは2週間ぶりになります。例年に比べますと、サイズも小さく価格は倍近い」
売り場でサンマの横にあったヤリイカを手にとったお客さんに、サンマは買わないのか、聞いてみました。
お客さん
「サンマは食べたいわよね、大根おろしでね(でも買わない)」
「庶民の食べ物だったのが、高くなっちゃって」
サンマは記録的な不漁が続いています。全国のサンマの漁獲量は2008年に年間34万トン以上ありましたが、2019年は4万0517トン、2020年は2万9566トン、2021年は1万8291トン、2022年は1万7910トンと、去年までの4年間は4年連続で過去最低を更新しました。(全国さんま棒受網漁業協同組合による)
いったい何が起きているのか、7日に農水省で行われた会見で原因に関する調査結果が明らかにされました。
水産資源研究所 水産資源研究センター長・西田宏さん
「負の連鎖が起きていて、魚(サンマ)の量が少なくなり、漁場が遠くなり、やせてしまうという状況を導いていると考えられる」
漁獲量減少のきっかけは、2010年に突然起きた“サンマの分布の沖合化”だというのです。
そもそもサンマは、北からの親潮に乗って、秋ごろに日本沿岸に回遊してきていました。しかし、温暖化などによって、本来、三陸沖まで来ていた親潮の流れが変化し、北海道の東側へと進むようになったといいます。
その結果、三陸沖などの海水温が上昇し、サンマは日本沿岸に近づかず、東へ移動。その沖合にはサンマのエサが少ないため、成長が遅れサンマの量が減少。日本近海での記録的な不漁につながったといいます。
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千葉・銚子市は12年連続で魚の水揚げ量日本一の港町ですが、去年のサンマの水揚げ量はゼロでした。サンマの“沖合化”の影響を強く受けています。
以前から主に北海道産を使い、サンマの開きなどを製造してきた地元の水産加工会社に話を聞きました。
ヤマニンベン 代表取締役・磯部明広さん
「今期に限ってはどうしても(不漁の影響を)カバーできない。台湾産を仕入れるようになってきています」
サンマの水揚げが豊富だった頃に比べ、売り上げは3分の2ほどに減少。“記録的な不漁が続けば、サンマの食文化に深刻な影響が出るのでは”と話しています。