業種を超えて…有翼ロケットにのせた夢 3
宇宙ベンチャー「スペースウォーカー」代表取締役CEOの大山よしたか氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「宇宙業界のベテラン×異業種30代 ドリームチームを結成!」。様々な経歴と能力を持つ役員陣。その役割とは?
■異業種のプロフェッショナル集団
――(役員には)年齢層も様々でいろんな方がいらっしゃいますね。大山さんを中心に様々な人に声をかけて現在の役員陣がそろったということですが、スタイリッシュでおしゃれな方々という感じがします。
みんなステキなんです。うちの役員は。
――これまで宇宙と関わりがなかった方も、業界にいらっしゃった方もいるんですか?
基本的には若手の3人以外は、宇宙関連の業界にいた人です。僕は元々アートディレクター出身で、あとは公認会計士とファンドマネージャーがいます。取締役・辻も別の出身で、ソーシャル系のプロフェッショナルです。
――宇宙を専門にされていた方はどなたでしょうか?
ファウンダー・米本は、国が有翼(ロケット)の研究をやめても諦めずにずっと続けてきた人で、この人を中心に会社も始まっています。取締役会長・留目は、国際宇宙ステーションの日本のユニット“きぼう”を運営する会社の元社長です。
取締役・浅田に関しては、日本の今のH2ロケットやH3ロケットなどの開発の中心人物です。取締役・大貫は、宇宙にめちゃくちゃ詳しいビジネスコンサルタントで、本当に何でも知っています。
皆さんすごく頼りがいのある方々です。宇宙関連のIA(IHIエアロスペース)という会社があるんですけれども、取締役・相談役の浅井はそこの元社長だったりもします。
■「想像だにしなかったメンバー」
――そのきっかけとなった米本教授が、最初は「想像だにしなかったメンバーになっていた」とおっしゃっていましたが、かつては皆さんライバル同士という部分もあったのでしょうか?
会社が違うという意味では、川崎重工や三菱重工など別の会社出身だったりしますが、日本が70年代からずっと研究開発を続けてきたプロジェクトは、実は一緒にやっていたりもするんですよ。
それを僕らは形にしたいという思いで今やっているので、会社員時代はできなかったことを、リタイアされた後なのでできるというところはあるかもしれないですね。
――ここまでそうそうたるメンバーが集まると、どういう形で仕事が進んでいくんでしょうか?
僕らも一生懸命やっていかなきゃいけないんですけれども、やっぱり(高度)100kmを超えるのはけっこう大変なことだと思うので、一歩一歩、地を固めながら進んでいこうと思っています。
■共通点は“みんな感覚が若い”
――皆さん上司と部下という感じなんでしょうか?
そういう感じではないですね。代表経験者も多いので、みんな熱い話もできるし、俯瞰(ふかん)からも見ることができる。あと、ロケットを飛ばすために何が必要かということを第一に考えながら進んでいます。
――(モニターを見て)すごく雰囲気の良い写真ですが、これは?
これは、この前の合宿の写真ですね。
――合宿ですか、皆さん一緒にお酒も飲まれて。
そうですね。さんざん合宿して討論したあとに、ご飯を食べた時の写真です。
――年齢層もだいぶ違うという印象がありますが、ギャップはないんですか?
見た目のギャップはあるかもしれないですけど、皆さん(感覚が)お若いんですよね。夢も僕らよりもいっぱい持っているくらいなので、夢をかなえていくためにいま何をするべきかということを、日々進めています。
――専門的な知識を持った先輩方と、実行力のある若手が集まって作ったという。
皆さんに実行力はあると思うんですけども、置いて行かれないように僕らも頑張っています。
――それぞれ皆さんに役割分担があると思うんですが、どういうところが強みでしょうか?
うちの強みはいっぱいありますけど、やっぱり異業種の人が集まっているのが大きいと思っています。
ブランドの仕事、お金の仕事、ロケットの専門家…そんなみんなが集まっているところが大きいと思います。別の角度の意見もあるので。
――それぞれの役割分担がきっちり分かれている状況なんでしょうか?
そうですね。ただ、できたばかりでまだ8か月しかたっていないので、みんなが自分のできることをやっているという状況ですけどね。
■日本としてやらなきゃいけない
――米本教授は、2021年の無人飛行には100億円規模、そして2027年の有人飛行には1000億円を超える規模の開発費用が必要だと、会見などでもおっしゃっていましたが、実際に資金調達はどのように行うのでしょうか?
資金調達に関しては事業計画もまとまってきたのもあり、けっこう前から機関投資家に会わせていただいていて、前向きに検討していただいています。
あとは僕らもしっかりと計画を練って実行していく中で、どんどんお金を集めていけたらいいなと思っています。
――賛同していただける方が各業界にいらっしゃると。
有人飛行が好き嫌いの前に、まず日本としてやらなきゃいけないことのひとつだと思っています。
いま、このタイミングで、「人を飛ばす」ということを誰かがやらなきゃいけないと僕らは思ってやっているので、そこはみんな同じ意識を持っていただけていると思っています。
(4)へ続く