無名観光地にチャンス 日本人に見えぬ価値
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「外国人観光客 地方へ」。訪日外国人の調査事業などを手がけ、訪日外国人に「本当に刺さる」インバウンド対策などに力を注いでいる冨永重人氏に意見を聞く。
観光庁の統計によると、2017年、日本を訪れた外国人旅行者の61.4%が、訪日回数が2回以上のリピーターだった。また、訪日回数が多くなるほど、地方を訪れる割合が高くなる傾向にあった。ネット上ではこんな声があがった。
「良い流れだと思う」
「受け入れる寛容さが必要」
「有名観光地は潤うが、それ以外は変わらない」
――この結果をどう捉えてらっしゃいますか?フリップをお願いします。
「無名こそチャンス!」と捉えています。ネットの声に「有名観光地は潤うが、それ以外は変わらない」という意見がありましたが、むしろ正反対と思っています。
訪日外国人の場合は、観光地が有名かどうかの偏見がないんですよ。例えば、インバウンド業界では有名な話があるんですが、長野に“サルがいる温泉”という観光地があり、そこはもともと海外の方々は全然いらっしゃらない場所でした。しかし、あるときを境にSNS上で“サルがいる温泉”が話題になり、観光客が多く訪れるようになりました。
このようなかたちで、地元に住んでいるとあまり特別とは思わないけれども、実は、海外の方々からすると“非日常”で、特別な環境というところは多々あります。だからこそ、そういった(無名な)観光地でも、有名になれるチャンスがあるのかなと思っています。
日本人の自分たちで「いったい何が特別か」を知るのは難しいので、訪日外国人観光客に実際声をかけたりして、相手の気持ちを理解するなどの取り組みを行っていくことが大事だと思います。
――日常の中に価値が埋もれているはずなんですよね。
ありますね。この前もアンケートで海外の方と話をしていたら、スマホで撮った写真の中に、日本のトイレを撮影している人がいて、「日本の公衆トイレがものすごくキレイだから」という理由でした。フランスの方でしたが、「ありえない」と話していました。
■冨永重人氏プロフィル
訪日外国人の調査事業などを手がける。幼少期から12年間フランスに滞在。帰国後、大学時代から翻訳・通訳のマッチング事業などを立ち上げた。現在は、訪日外国人に「本当に刺さる」インバウンド対策などに力を注いでいる。
【the SOCIAL opinionsより】